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長友佑都 10年前

ダービーで失点招いた軽率で“キザ”なプレー。長友に求められるキャプテンとしての責任感

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

封じられた長友

 序盤はチーム共々に良く、長友は主に守備で貢献していた。立ち上がり4分には早速リヒトシュタイナーのクロスを阻止。1対1ではきちんと対処する。さらに5分にはジョレンテからテベスへのワンタッチパスを完璧に読み切り、カバーリングから絶妙なクリアを見せた。プレッシャーの早い中でも落ち着いて守備をする様子に、あらためて成長を感じたものである。

 しかし、インテルは先制を食らう。16分、ピルロがリヒトシュタイナーに得意のミドルパスを通す。この時長友は、流れの中からコバチッチに彼のマークを渡し、自らは別の選手についていたのだが、そのコバチッチが彼を逃した。

 これで試合は暗転。立ち上がり、ボールポゼッションでもそこそこ良かったインテルは、瞬く間に相手にペースを明け渡す。一方で反撃に攻め上がろうにも、前線から緊密に掛かるプレスの前にビルドアップが成立しない。

 長友の攻め上がりも、それで封じられていた。左インサイドのタイデルにコバチッチ、またサイドに流れて来るアルバレスにはしっかりとプレスが掛かり、パスコースが切られるので前に行けない。

 その一方、右で組み立てフィニッシュに絡むべく、ファーから走り込もうとしても、右ではジョナタンに複数のマークが付いて得意の1対1に持ち込めない。5ゴールを挙げた長友の絶好の“餌”である右クロスが死んだ以上、このプレーも封じられる事になった。

 それでもインテルは、劣勢の中で最終ラインが踏ん張り1-0で後半に突入する。この時点でマッツァーリ監督は「相手が前半から激しくプレスを掛けてきていたから、後半にはもっとボールが回せるだろう」と算段を立てていたという。ところが後半立ち上がり、そのプランはいきなり崩壊した。要因となったのは、よりによって長友のミスだった。

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