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サッカーからフィギュアスケートの世界へ。ソチ五輪を目指したイルハンの挑戦を追う

text by いとうやまね photo by Getty Images

アイスリンクで見つけた人生のパートナー

 2人はこの番組出演を期に、プライベートでもパートナーになる。恋人同士は、一緒にいる多くの時間を氷上で過ごしているという。長い時は6時間から8時間もの間、個人レッスンは続く。

 当初、オリガはサッカー選手に対して、あまりいいイメージを持っていなかったようだ。彼らはピッチ以外では世間知らず。それでいてチャラチャラした印象があった。彼女ははじめてイルハンに会った時の印象について、こう話している。

「彼は知的で大人でした。スポーツに限った話ではなく、才能に溢れているのがわかりました。決めたことはかならず成し遂げ、なにより新しいチャレンジに恥じない。他人がどう見ようが気にせず、自分自身を客観視し、笑うことが出来る。これはすごいことだと思いました」

 それは、今までオリガが考えていたサッカー選手のイメージとは、かけ離れていた。彼女は番組のためとはいえ、初心者のパートナーに懸命にスケートを教え込み、イルハンもまた、それについて行った。

 当時、オリガは本業であるアイススケートのパートナーを探していた。長くペアを組んでいた相手とチーム解散後、なかなか新しいパートナーが見つからないでいたのだ。そこで、イルハンが一緒にやることを提案したのだという。この突拍子もないアイデアを、オリガは「チャレンジ」と捉え、テレビ番組ではなく、本格的にイルハンとペアを組むことを了承したという。

「ひとりのスケーターを一から育て上げる」

 この挑戦は、相手の年齢を考えれば無謀であろうことは想像できた。それでも、ハードルが高ければ高いほど、オリガのモチベーションは上がったという。それはイルハンも同様で、そこに互いの尊敬と愛情が芽生えたのである。「かつてのアスリートとして、オリガの状況に共感のようなものを持っていた」と、イルハンは当時を回想している。

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