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W杯観戦者が注意すべき犯罪以外のこと。ブラジルのディープゾーンから探る、サッカー王国の見方・歩き方

text by 海江田哲朗 photo by Getty Images , Kenzaburo Matsuoka

アルゼンチンとの違い

 南米もうひとつのサッカー大国、アルゼンチンからブラジルはどう見えるのか。アルゼンチンのサッカー事情に詳しい亘崇詞氏(なでしこリーグ1部、ASエルフェン狭山FCコーチ)の言葉を借り、隣国の視点からブラジルを映してみたい。

「僕が感じるアルゼンチンとブラジルの違いは、前者がイタリアっぽいサッカーをするのに比べて、後者はポルトガルやスペインの影響を色濃く受けている。最も顕著に表れるのは、センターバックの動きかな」

 アルゼンチンではサイドバックがポジションを上げる際、センターバックがスライドして背後をカバーするのがセオリーだ。

 一方、ブラジルのセンターバックはボックスの前を固めることが何よりも重要と教え込まれている。ボールを失った場合は中盤で奪い返すか、あるいはボランチがカバーに入ればいいと考える。

 91年、単身アルゼンチンに渡り、92年にボカ・ジュニアーズとプロ契約を結んだ亘氏は、ひまさえあればブラジルを旅したそうだ。

「日本が試合をする北東部のレシフェやナタールはいい街ですよ。黒人文化にヨーロッパ文化が交わり、独特の風合いを醸し出している。海辺や街並みの景観がとても美しいです。

 アルゼンチンの人がよく言うのは、あんな温暖な土地では頭がぽわんとして、サッカーなんかいっかと気が抜けるんじゃないかと(笑)。これはかなりの偏見が含まれていますけどね。あと南部のリオの選手はサッカーは巧いけど、我慢が利かないとか。これもアルゼンチンサイドからの偏った見方です」

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