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日本代表 10年前

ザックジャパン回想録。試練を乗り越え成長、主力不在の最終ラインを力強く支えた吉田麻也

現在、クラブでの不遇と負傷によって自身のキャリアで最も苦しいシーズンを送る吉田麻也。この試練を吉田は乗り越えることができるだろうか。ロンドン五輪直後、主力不在となったW杯最終予選を経て大きな成長を遂げた12年夏を振り返る。

text by 元川悦子 photo by Getty Images

累積で守備陣の主力不在。ロンドン五輪直後に重責を課せられた吉田

ザックジャパン回想録。試練を乗り越え成長、主力不在の最終ラインを力強く支えた吉田麻也
吉田麻也【写真:Getty Images】

 2012年6月のブラジルW杯アジア最終予選序盤3連戦で2勝1分の勝ち点7という抜群の滑り出しを見せたザックジャパン。しかし、タフな戦いでイエローを受けた内田篤人、今野泰幸、さらには栗原勇蔵の3人が9月に埼玉スタジアムで行われたイラク戦で出場停止処分を受けることになった。

 2010年秋のチーム発足以来、最終ラインを担ってきた面々が不在となると、ザッケローニ監督としても守備陣の立て直しを真っ先に考えなければならない。右サイドバックは経験豊富な駒野友一がいるが、選手層の薄いセンターバックの穴埋めは頭の痛い問題だ。

 指揮官は8月のキリンチャレンジカップ・ベネズエラ戦で、2011年アジア杯優勝メンバーの一員である岩政大樹や2008年ロンドン五輪世代の水本裕貴を新たに招集したが、今野の代役一番手として伊野波雅彦を抜擢した。

 しかし、彼は重要な試合でのスタメン経験が極端に少ない。常連組のセンターバック・吉田麻也には、彼をサポートしつつ最終ライン全体を統率するという重責が課せられた。

 その吉田だが、6月のヨルダン戦でひざを負傷した後、懸命のリハビリを経て7~8月にかけて行われたロンドン五輪本大会にオーバーエージ枠として出場。キャプテンマークを巻いて若いチームを4強入りへと導いた。

 ベネズエラ戦は韓国との3位決定戦からわずか5日後。吉田は疲労困憊の状態でザックジャパンに合流した。

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