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日本代表 10年前

ザックジャパン回想録。試練を乗り越え成長、主力不在の最終ラインを力強く支えた吉田麻也

text by 元川悦子 photo by Getty Images

急造DFラインにコンディション不良…重なる不安にも責任感を強める

「疲労はありますけど、招集された以上は全力でやらなければいけない。五輪はもう終わったんで、次はW杯に向けて短い時間でしっかりやらないと。特に今回3人累積で出られない選手がいるんで、他の選手とコミュニケーションを取る必要がある。A代表はレベルの高さも変わるし、プレーの質も高くなるんで、僕が出遅れないようにしないといけないと思います」

 イラク戦の前哨戦と位置づけられたベネズエラ戦は1-1のドロー。遠藤保仁の先制点でリードしたが、後半17分に右クロスからFWフェドールに飛び込まれ、吉田は足を出していったんは反応したものの決められてしまった。

「1失点はまずショートカウンターから再三、左サイドを崩されていたこと、7番(フェドール)が起点になりかけていたこと、向こうの中盤の選手がショートカウンターに備えているところに対してしっかりリスクマネージメントできなかったこと。それが重なった失点ですね。

 カウンターへのリスク管理は2月のウズベキスタン戦の時もそうですけど、僕らはサイドバックが前へ出るのが長所かつ短所にもなり得るので、そこだけは僕らセンターバックがコントロールしないといけない」と吉田は反省を口にした。

 次のイラク戦までは3週間しかない。直前のキリンチャレンジカップ・UAE戦で連携面などを再チェックする機会は残されていたが、やはり急造感は否めなかった。

 加えて、吉田は8月末からの代表合宿直前にVVVフェンロからサウサンプトンへの移籍が正式決定。一時的にオランダへ戻ってからも落ち着かない日々を過ごしていただけに、コンディション面が不安視された。

 それでも「守備の部分では再構築になるけど、僕がまず自分の仕事をしっかりしてみんなの良さを出せるようにしたい」と、彼は責任感の強さを前面に押し出していた。

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