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本田圭佑 10年前

「難しいチーム」を沈めた本田。向上した連係、理解された意図、スタートラインに立てた価値ある初ゴール

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

強烈なジェノアのサイドアタック。その中で決めたインテリジェンス溢れるゴール

 ジェノアのシステムは3-4-3。ガスペリーニがお手芸とするこの戦術では、ウイングがサイドに張ったり中に絞ったりと、神出鬼没の動きをする。

 本田のいる右、つまりジェノアの左にいるのはスクッリ。指揮官の戦術を熟知している彼は、時にボネーラを釣り出したかと思えば、サイドハーフのように中盤に吸収され、WBと共にプレスを掛ける。ボネーラとの連係が寸断され、本田が単独で挟み込まれるシーンが多く、ロストの原因となった。

 そして対面の左WBには、イタリア代表のアントネッリがいた。走力に溢れフィジカルの強い彼は、ケガが多くなければとっくにビッグクラブへ移籍していたと言われる存在。本田は散々彼に当てられ、44分には走力を活かして引きちぎられた。

 スクッリにアントネッリ、そこを抜けても左CBのマルケーゼがブレイクして当たりに来る。ドラメ一人を相手にしていれば良かった前節のキエーボ戦とは、サイドでのインテンシティに格段の違いがあった。

 もちろん、そういう激しさの中でもボールをキープし、正確なチャンスメイクが出来るかどうかが本田にとっては今後の課題となるだろう。もっとも、シンプルにパスを付けてくれたデ・ヨンクと違い、4戦ぶりに出場したモントリーボが中盤の底の組み立て役として機能せず、まともにパスが来なかった事も乱調の原因としては大きいが…。

 そんな中で訪れた後半11分、カウンターからのチャンス。カバーに入ったマルケーゼをワンタッチでかわし、一瞬で裏を取って縦へと向かう。しかしその瞬間、ジェノアのGKクリンも鋭い飛び出しを掛けて、大胆にもエリア外に出て足でブロックを掛ける。そこでボールを柔らかく浮かし、最終的にゴールへと転がる。一連の動きは実にテクニカル。

 イタリアの衛星放送SKY Sportの技術解説員を務める元ユベントスMFのマロッキは「ゴールの際のドリブルで見せたインテリジェンスはそうそうあるものではない」と番組内でコメントしていた。

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