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本田圭佑 10年前

「難しいチーム」を沈めた本田。向上した連係、理解された意図、スタートラインに立てた価値ある初ゴール

ついに初ゴールを決めた本田圭祐。ガスペリーニ監督の復帰でかつてのアイデンティティを取り戻し、セードルフ監督が「これからの対戦相手で最も難しいチーム」と警戒したジェノア戦でのゴールの価値とは?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

苦戦必至のジェノア戦でセリエA初ゴール。ワンチャンスを活かした前向きな結果

「難しいチーム」を沈めた本田。向上した連係、理解された意図、スタートラインに立てた価値ある初ゴール
本田圭佑【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

「本田は毎試合毎に成長している。今日は相手が激しく来たため彼にとっても大変な試合になっていたが、いい時間帯でゴールを挙げてくれた。そしてその後に解き放たれ、我われにとってプラスαをもたらす男となってくれた」

 会見でセードルフ監督が語った言葉が、この試合での本田のパフォーマンスの全てを表現していた。

 チームは先制するも内容ではジェノアに押される中、カウンターから得たチャンスを活かして貴重な追加点を挙げる。そして得点後は、ともにゴールを喜んだ仲間たちから頻繁にパスが来るようになり、ボールを多く触ってリズムを取り戻した。

 もっともファンの方々にとって気になるのは、前節のキエーボ戦と違い、本田が前半からリズムに乗れなかったことだろう。むしろパスがあまり来ずに右サイドで孤立気味、ボールを持てばロストを繰り返しと、少し前の状態に戻った感があったことも確かだ。

 しかし、ジェノアは決して簡単な相手ではなかったことも考慮に入れなければならない。一時代を築いたジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が復帰し、彼らはかつてのアイデンティティを取り戻している。3月14日のユーベ戦ではピルロの直接FKに屈するまで相手をタジタジに追い込んでおり、「これからの対戦相手で最も難しいチーム」とセードルフ監督も警戒していた。

 激しいプレスとサイドアタックにさらされ、苦戦するのは織り込み済みとも言える状況だった。むしろスタメンとしての信頼を得て送り出された本田がそれを耐えぬき、ワンチャンスを活かして点を取ったことは前向きに評価するべきだろう。

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