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香川真司 10年前

香川はマンU“第3章”の主役になれるか。残り5戦、マタ・ルーニーとの流動性が将来の扉を開く

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ユナイテッドでポジションを。偉大なユニホームに刻まれる「KAGAWA」

 確かにスポンサーや移籍金など様々な理由で移籍が難しい状況にある事も事実だろう。しかし、メディアを使った移籍志願や練習不参加、監督やチームへの不満を公にするなど、あの手この手を使って放出やむなしの状況を作り出す事は可能なはずだ。

 しかし、そういった行動は不必要に騒ぎを掻き立て、チームの和を乱し、チーム全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性がある。自身の富や名声のみを求める選手であれば、チームの和などおかまいなしに騒動を巻き起こすだろう。そういった報道は何度も目にしてきた。

 だが彼はそれをしなかった。そして何よりも彼の本心は「ここ(ユナイテッド)でポジションを掴みたい」という思いなのだろう。

 マンチェスター・ユナイテッドのユニホームは、どうあってもボビー・チャールトンやジョージ・ベスト、エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、ポール・スコールズといったサッカー史に名を残すレジェンド達が袖を通してきた誇り高きものだ。「KAGAWA」の文字は既に刻まれている。

 そしてこの数週間、香川は明らかにチーム内でその存在感を増しつつある。もちろん、ロビン・ファン・ペルシーやウェイン・ルーニーの負傷といった要素も否定出来ない。それでも試合を観た者であれば、香川が単純な代役に収まる選手ではないことが分かったはずだ。

 エヴァートン(アウェー)、ノリッジ(ホーム)、サンダーランド(ホーム)、ハル・シティ(ホーム)、サウサンプトン(アウェー)と続く残り5試合。来シーズンのためにもこの数週間以上にインパクトのあるパフォーマンスを示さなければならない。

 モイーズ監督の古巣であるエヴァートンは、アーセナルを抑えてチャンピオンズリーグ圏内の4位につける強敵だ。6日の第33節ではアーセナルを3-0と粉砕するなど現在7連勝中。しかもグディソン・パークでは今シーズン12勝3分け1敗と圧倒的な強さを誇っている。

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