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香川真司 10年前

香川はマンU“第3章”の主役になれるか。残り5戦、マタ・ルーニーとの流動性が将来の扉を開く

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

難敵が待ち受ける残り5戦。マタとのコンビで最高のパフォーマンスを

 その後のホーム3連戦はいずれも降格を争うチームだ。下位に沈んでいるとは言え終盤に差し掛かるこの時期、降格の危機に瀕したチームは対戦相手にとって最も厄介な相手と言っても過言ではないだろう。

 さらに最終節に待ち受けるのはサウサンプトンとのアウェー戦。チーム最多15得点を挙げているジェイ・ロドリゲスが負傷欠場するものの、リッキー・ランバートやアダム・ララナといったイングランド代表候補が揃っており、易々と勝ち点3をくれる相手ではない。

 しかし、その難敵を相手に輝きを放てば、来シーズンへの大きなプラスとなるだろう。負傷を抱えるルーニーはW杯を見据えて残り全休する可能性が報じられており、先発出場の可能性は限りなく高い。

 5日のニューカッスル戦でも見せたフアン・マタとハビエル・エルナンデスとの抜群の連係をここでも見せれば、相手を翻弄する流動的な攻撃が可能なはずだ。

 特に、当初一部では「共存出来ない」と言われたマタの存在が大きい。チェルシーからクラブ最高額の移籍金で加入したものの、期待とは程遠いパフォーマンスに終始していたマタ。香川はその時期には全くと言っていいほど試合に起用されていなかった。

 ところが、シーズンも深まるにつれて負傷者が出た影響もあって香川にも出場機会が訪れる。そして3月14日のウェスト・ハム戦でついに初めての同時先発を果たした。

 それ以降のアストン・ヴィラ戦、ニューカッスル戦でも同時に先発で起用され、香川のプレーに引かれるようにマタも好パフォーマンスを披露。つまり、この2人がお互いのためにはお互いが必要だという事をモイーズ監督に教えてくれたのだ。

 そしてこの2人に、味方を使い・使われることに長けたルーニーやエルナンデスのようなセンターフォワードが絡み合えば流動的かつ鋭い攻撃が可能となる。

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