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日本代表 10年前

「与えられた役割を全うするだけ」。ザックの哲学最も理解する伊野波、バックアッパーとして最高の働き

キプロス戦で唯一のアクシデントと言えるのが長友佑都の負傷だろう。交代したのは伊野波雅彦。左サイドバックにそのまま入ると、安定したプレーを披露。バックアッパーとして十分な実力があることを証明した。

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「50%ぐらいは分かるので準備もしやすい」

「与えられた役割を全うするだけ」。ザックの哲学最も理解する伊野波、バックアッパーとして最高の働き
長友佑都の代わりに入ったのは伊野波雅彦だ【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 鹿児島合宿の直後の壮行試合としては順調に運び、1-0の勝利で終わったキプロス戦だったが、その中で長友佑都が右足を打撲し、しばらくプレーしたが後半34分に交替した。代わりに入ったのは伊野波雅彦だ。

 同ポジションのスペシャリストで、合宿中の負傷で大事を取っている酒井高徳は「本来ならあそこは自分なのかなと思った」と悔しさを表したが、左サイドからラインを調整し、相手の縦を切り、中央に絞ってフィニッシュの芽を摘み取る伊野波の安定感は、目立たないながらいぶし銀のような確かな輝きを放っていた。

「クローザー的な感じで、監督からも“バランスだけ考えろ”と言われたので、あの時間帯に入るのはしっかり終わらせるのが目的だった」と伊野波は振り返る。実は合宿中に一度もやっていないという左SBだが、そうしたポジションを守備的ながら、何の違和感なくこなすの技は“職人”ならではだ。

「(急に言われた?)そういうもんです。監督の性格も分かっているし、本当に長いこと僕はいるので、50%ぐらいは分かるので準備もしやすい。そのために自分はいると思っているので大丈夫です」

 チームの構成上は“CBの4番手”と位置づけることもできる。もちろん同ポジションの選手に何かあればスタメン出場のチャンスもあるだろう。ただ、現時点で伊野波は誰か特定の主力をライバル視することもなく、チームが勝ち上がるために自分のやるべき仕事を全うすることに集中している。

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