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日本代表 10年前

「与えられた役割を全うするだけ」。ザックの哲学最も理解する伊野波、バックアッパーとして最高の働き

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「細貝の分もしっかりやらないといけない」

 この4年間で主に“試合を終わらせる役割”を果たしてきた細貝萌は最終メンバーに残らなかった。基本ポジションは異なるが、その重みを伊野波は十分に承知している。

「なかなか一緒に試合に出場することはなかったけど、お互いアジアカップでああいう点の取り方をして、そこからやってきた仲なので。彼の分もしっかりやらないといけないし、その気持ちを忘れずに戦っていきたい」

“代表はオールスターではない”と良く言われるが、それは主力だけでなく、23人の構成に関しても重要なこと。個の能力やクラブでのパフォーマンスだけを評価するなら、他の選手が入っていたかもしれない。しかし、代表チームとして考えた場合、彼ほどコンセプトを理解し、複数のポジションで必要な時に必要なプレーができる選手も思い浮かばない。

 そういう筆者もメンバー発表前の予想では伊野波を入れていなかった。CBとSBをこなせる候補は別に何人かおり、ボランチで試合を締める役割なら細貝、流れを変えるなら中村憲剛が最適だと考えていたためだ。

 しかし、様々なポジションであらゆる役割をこなし、主力にアクシデントがあっても臨機応変に対応する“いぶし銀の職人”の有難みを本大会で実感することになるかもしれない。

【了】

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