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日本代表 10年前

再び世界を驚かせるために――。柿谷曜一朗の決意「どこからでもゴールを取れればいい」

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「1点は1点ですから。どこからでもゴールを取れればいい」

「W杯で対戦する相手は体の大きい選手が多い。特にディフェンスはそう。だけど、別にケンカするわけじゃないし、サッカーするうえで体の使い方だったり、当て方だったり、スピードの出し方によっては、優位に立てる方法はいくらでもある。

 前線で自分がボールを失わないことが攻撃のスイッチでもあると思うので、動きのことはもちろんですけど、一番いいところでポジションを取ること、ビビらず恐れず向かっていくって姿勢を持つことは、しっかり意識してやろうと思っています。

 自分はGKとの1対1とか決定的な場面で落ち着いてシュートを打っている場面があんまりない。だからこそいつも通りにできればいいと思います。サッカーにおいて、全員のコンディションが上がり、全員のプレーがよくなり、足が軽くなる一番の薬っていうのは先制点やと思う。

 パスを何本もつないで取るのも1つだけど、タテパスをもらって前でパッと受けて2タッチくらいで決めるのも同じ1点。90分通しての試合運びの中でもっと状況に応じたプレーができればいいかなと思いますけど」

 2007年U-17W杯のフランス戦でセンターサークルから超ロングシュートを決めたように、彼には常人には思いつかない一瞬のひらめきと遊び心、敵の意表をつく鋭い判断力がある。

「当時の自分はそうやったんやないですか」と本人はかつての自分に思いを馳せながらも「今はやってみないと分からないけど、あれも1点は1点ですから。どこからでもゴールを取れればいいと思います」と世界の大舞台で人々を驚かせるような一撃を見せたという意欲が心のどこかにあるようだ。

 日本代表入りしてからの柿谷はどこか責任感や重圧に囚われて、心からサッカーを楽しむことができていないように見受けられる。本人が「W杯は楽しみで仕方ない」と繰り返すように、心の底からこの大舞台を楽しめた時、彼は持てる力の全てを発揮できるはずだ。

 世界を驚かせる力は十分に持っている。あとはそれをいかに出すかだ。

【了】

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