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良くも悪くもペップ・バイエルンの“模倣”となったドイツ代表。ポゼッションスタイルは実現もW杯では「危険な綱渡り」

ペップ・バイエルンのポゼッションスタイルを模倣したドイツ代表。カメルーンとのテストマッチではカウンターへの弱さも露呈した。本大会まで残り1試合と限られた時間で精度を上げる事ができるのだろうか。

text by 本田千尋 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

プランA=ポゼッションスタイルの成熟へ、ゲッツェを偽9番として起用

 示されたのは「バイエルン・モデル」だった。

 2014年6月1日、イタリアは南チロルでの合宿を終えたドイツ代表候補26名は、フォルカー・フィンケ率いるカメルーン代表とメンヘングラッドバッハでテストマッチを行なった。

 ドイツ代表は2日にブラジルでの本大会へと向かうメンバー23名を発表した。つまり、最終選考と言える試合である。

 スターティング・メンバーは、GKバイデンフェラー、右SBボアテンク、CBにメルテザッカーとフンメルス、左SBにドゥルム、ダブルボランチにケディラとクロース、2列目は右からミュラー、エジル、ロイス、そしてワントップにゲッツェの布陣だ。

良くも悪くもペップ・バイエルンの“模倣”となったドイツ代表。ポゼッションスタイルは実現もW杯では「危険な綱渡り」
最前線のポジションでゲッツェを偽9番として起用【写真:Getty Images】

 5月13日の親善試合ポーランド戦で固められつつあったプランA=ポゼッションスタイルを、南チロルの合宿を通してさらに成熟させようとしてきたのだろう。候補メンバーで唯一のCFクローゼはベンチスタートとなり、レーブは最前線のポジションでゲッツェを偽9番として起用する。

 コンディション次第ではブラジルW杯で大会屈指のダブルボランチとなるかもしれないケディラとクロースを軸として、ドイツ代表はディフェンスラインから丁寧にゲームを組み立てた。

 ケディラのコンディションは万全とは言い難かったが、クロースは1対1などで盤石の強さを見せる。ケディラがエジルに、クロースがロイスに縦パスを打ち込み、攻撃のスイッチを押した。

 ゲッツェを中心とした前線は流動的に動く。ゲッツェとエジルが縦のポジションチェンジをする。ゲッツェが左サイドへ、ロイスが中央に動く。エジルが前へ、ミュラーがトップ下に入る。20分が過ぎる頃には、カメルーン代表をその自陣へと押し込んでいた。

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