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良くも悪くもペップ・バイエルンの“模倣”となったドイツ代表。ポゼッションスタイルは実現もW杯では「危険な綱渡り」

text by 本田千尋 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

精度向上のカギはバイエルン勢の復帰とアーセナル勢との融合

良くも悪くもペップ・バイエルンの“模倣”となったドイツ代表。ポゼッションスタイルは実現もW杯では「危険な綱渡り」
初戦で相対するポルトガル代表にはクリスティアーノ・ロナウドがいる【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 残された時間でパススタイルの精度を上げていくためには、怪我の影響でこの試合を欠場したノイアー、ラーム、シュバインシュタイガー、特にノイアーとラームの先発への復帰はやはり欠かせないだろう。

 ラームはドイツ代表では右SBでの起用となりそうだ。シュバインシュタイガーかケディラのどちらを取るかは難しいところだが、まず先発メンバーにバイエルン勢、そこに同じくパススタイルを嗜好するアーセナル勢を加えることが、やはり「バイエルン・モデル」へと近づく道となる。

 カウンター対策としては、流動性を主体としたパス交換で相手の組織を揺さぶり、形が整い人数を掛けたカウンターを仕掛けさせないことがまず重要だが、さらにボールロスト時の切り替え、プレッシングを詰めていく余地はまだありそうだ。

 この期に及べば、ドイツ代表が本大会でもカメルーン戦で示したポゼッションスタイルで戦うのは間違いない。

 グループGで待ち受けるのは、スピードを武器に持つポルトガル、ガーナ、アメリカである。強者ドイツとの戦いで、その3チームが鋭いカウンターを主体とした攻撃を繰り出してくるのは間違いないだろう。

 初戦で相対するポルトガル代表には、昨シーズンCLの準決勝でバイエルンを葬り去ったレアル・マドリーのクリスティアーノ・ロナウドがいる。

 親善試合は6日のアルメニア戦を残すのみとなった。本大会までの短い期間でレーブの手腕がさらに問われるところである。

 良くも悪くもペップ・バイエルンを色濃く反映するドイツ代表のグループリーグの戦いは、危険な綱渡りとも呼べる、スリリングなものとなりそうだ。

【了】

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