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スペイン代表カシージャスの回想「02年W杯の韓国戦は恥ずべき戦い。審判が相手を後押しし、誤審が存在した」

text by エンリケ・オルテゴ photo by Getty Images

「サラ(恋人)を槍玉に挙げていた人々に失望していた」

――スイス戦の敗北から、どのようにして立ち上がったのでしょうか?

「あの敗戦はスペインのパブリックイメージに打撃を与えるものだったが、当事者である僕たちにとっては団結のきっかけとなった。チームはすでに一つにまとまっていたが、敗戦が僕たちを一枚岩としたんだよ。

 あの試合のパフォーマンスは、10回戦えば9回は物にしていた内容だっただろう。スペインはスイスよりもチャンスをつくっていたが、彼らに唯一とも言える決定機をも決められてしまった。良質なフットボールを実践したとしても、苦しむ必要があると教えられた試合だったね」

――グループリーグ敗退の可能性もささやかれたスペインですが、第2節ホンジュラス戦を2-0、第3節チリ戦を2-1で制し、首位での決勝トーナメント進出を果たしました。

「ホンジュラス戦前には少し緊張感が漂っていたけど、イエス・オア・イエスで勝たなければならなかったし、実際にそうすることができた。その後のチリ戦の緊張感はホンジュラス戦とは比べ物にならず、選手たちはバスの中やロッカールーム内で、ナーバスな感情を消し去ろうとしていたよ。

 グループリーグ突破は自分たち次第となっており、なおかつ1位突破も目指さなければならなかった。2位突破の場合には、ブラジルと対戦することが濃厚だったからね。チリはホンジュラスとは違い、自分たちを苦しめるだけの力を持つ選手たちが揃っていた。南米のチームにはいつも苦しめられるし、その試合では2点を先取したことによって、少し気を抜いた可能性もあった……」

――このW杯では、『テレ・シンコ』のピッチレポーターを務める、あなたの恋人サラ・カルボネロに対して批判が集中しました。彼女の仕事場が、あなたの守るゴール裏だったためです。

「メディア、またサラ(恋人)を槍玉に挙げていた人々に失望していた。彼女の記者としてのキャリアも何も知らないのに、好き勝手言っていた人たちにね。どうして中傷に中傷を重ねるようなことをするのか、自分には全く理解できなかった。

 サラは新人ではなく、記者としてのキャリアを8年間積んでいたんだ。彼女のことでは本当に苦しんだよ。サラは自分の仕事をまっとうしようと望んだだけなのに、世界からの注目を一身に集める立場になった。何も知らない人たちに適当な意見を言われてね……」

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