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日本代表は進化してきたのか? 1ランク上のステージでブラジルW杯を戦いザックジャパン

text by 西部謙司 photo by Getty Images

オシムが目指したのはポゼッションではなく反転速攻型

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90年W杯 ドラガン・ストイコビッチ【写真:Getty Images】

 イビチャ・オシム監督は、当初ジェフ千葉で成功したマンマーク+反転速攻の戦術を導入したが、07年のアジアカップではポゼッションを重視した戦術に変えている。

 脳梗塞で退任してしまったので、そこからW杯予選と本大会に向けてどんなチームを作るつもりだったのかは今となってはわからない。けれども、おそらく90年W杯のユーゴスラビアがモデルになったのではないか。

 ベスト8に入ったユーゴでは、3人のプレーメーカーを同時起用した。サフェト・スシッチ、ドラガン・ストイコビッチ、ロベルト・プロシネツキだ。この3人の起用法は、中村俊輔、遠藤保仁、中村憲剛のケースと同じなのだ。しかし、戦術はアジアカップの日本のような圧倒的なポゼッションではなく、反転速攻型に近かった。

 もともとオシムは「ジェフ千葉とガンバ大阪を組み合わせたチーム」を考えていたという。アジアカップは開催地が酷暑であることと、相手との力関係の優位から、G大阪型のポゼッションスタイルを選択したが、W杯本大会に向けては、当初の反転速攻型をブレンドして仕上げるつもりだったのではないか。

 タレントの宝庫といわれた旧ユーゴも、W杯では優勝候補ではない。力関係が劣勢になったり優勢になったりという立場だった。ボールを持っても持たれても対応できるチームが必要であり、オシムはユーゴをそのように仕上げていた。日本もそうするつもりだったのではないかと推測する。

 オシムの後継となった岡田監督は、「オシム路線の継承」が義務づけられている雰囲気の中でスタートした。しかし、実際にはオシムとは無関係にチーム作りを進めている。

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