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日本代表・惨敗の内実【その3】選手に飽きられてしまったザック。大久保電撃招聘の是非

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

大久保の見ている世界と他の選手の見ている世界

 大久保を入れた意図ですが、ザッケローニは大久保をどう考えて入れたのか。

飯尾 使い方からすると本当、攻撃のユーティリティでしたね。

 そうそう、もう完全に主軸みたいな使い方をしていた。あれは大会が始まった中で、大久保の調子が良かったからあれだけ長い時間起用したのか、それとも最初からある程度起用する算段があったのか。どちらかといえば前者かなと思う。大久保の調子が良くて、他の選手の調子が悪いというのがまずあった。その時点で、日本の基本形は崩れているわけですよ。

飯尾 確かに大久保を呼んだ当初はスタートから使うとは思えなかった。戦術とか教える時間がないから、スーパーサブとして、残り15分とかの勝負所で出すつもりだろうと思っていたから、ここまで重宝されるとは思わなかったですよね。

 先ほど清水さんが言っていたように、コロンビア戦を見ていると、大久保の動きだしが良くてすごく目立つんですよ。当然そこにパスが出る。でもそうすると、過程みたいなものがすっ飛ばされるんですよね。

大久保がアクションを起こして、高い位置にボールが入っちゃって、そこに2列目が慌てて押し上げていく。そうするともうボランチは押し上げられない、ディフェンスラインも押し上げられない、となって、スペースができてしまう。

大久保の動きは目立つし、たしかに彼は効果的なプレーもしていたんだけども、チームのバランスということ考えると、大久保が入ることによって崩れた部分っていうのは、間違いなくある。個のパフォーマンスだけではなかなか測れないというか、そんなところはあった。

 ただ、裏を返せば、大久保じゃなかったら日本はもっと何もできなかった可能性が今回は高かった。

河治 ありますね。結局、能力上の問題とかじゃないけど、大久保についてこられないっていうのはあったかもしれないですよね。

 (他の選手の)アクションは遅かったですよ。大久保に入った時に香川が出て行くのも遅かったし。ちょっと遅れているんですよね。

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