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日本代表・惨敗の内実【その3】選手に飽きられてしまったザック。大久保電撃招聘の是非

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

最後まで大久保が合わなかった理由

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青山敏弘【写真:Getty Images】

河治 そうですね。だからコロンビア戦に入る前に、僕は大久保に「大久保選手の見えている世界と他の選手が見えている世界に違いがあるんじゃないの?」と聞いてみたんです。でも大久保は「みんな見えていると思うから心配していないです」と言っていた。

大久保の見えている世界がベストかどうかということではない。でも、やっぱり試合の後に聞いたら、大久保と周りの選手でやりたいプレーに違いがあったって。

 長谷部の発言を聞いていても、これまでやってきた選手と大久保の間では、考え方にすごい違いがある。

飯尾 あると思いますよ、それこそ大久保がミックスゾーンで言っているコメントは、まさにフロンターレそのもの。彼の見えている世界で、彼のタイミングで(相手を)外しても、全然(ボールを)入れてくれないと言うけど、そのタイミングでザックジャパンはボールを入れた試しがない。中村憲剛がいるわけじゃないからいきなりは難しい部分がある。

 長谷部が、「嘉人さんはすぐにボールを全部くれって言うけど出せないよ」というようなことを言っていたのは、(出し手の)能力的な問題もあるし、チームとしてのコンセプトもありますよね。

河治 そうですね。もしかしたら唯一大久保に反応できるのが青山だったのかもしれない。でも、青山が狙って、カットされて、カウンター食らうと、周りがなんだよ、となってくる。結果として、青山は見えていたけどそれをすべて狙っていいかどうか、もうわからなくなってしまった、と言っていた。

最終的には精度の問題だって言っていたんですけど。大久保は要求してくれるかもしれないけど、他の選手が突き詰めようと思っていたことと違っていたというか、一つの方向に向いてなかったのはあるかな。

 でも、ディフェンスの間のスペースがない中でボールを受けるプレーについては、僕は大久保が大きくずれたことをやっていたとは全然思わなかった。もともと香川も岡崎も本田も狙っている。だけど、要はそこのボールを欲しがるタイミングであるとか、チームとしてのメカニズムみたいなものが、一ヶ月では全然すり合わせられなかった。

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