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日本代表 10年前

選手選考、戦術、規律、育成――。代表を追う記者が4テーマから読み解く、ザックとアギーレ監督の違い

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

違いその4:選手育成

 加えて、育成に強い関心を持っていることも、戦力の発掘だけでなく戦術面の強化につながる。ザッケローニ前監督は五輪予選の現場に足を運ぶなど、選手のチェックはしっかりやっていたが、育成年代との方向性の共有が限られていた。

 アギーレ監督は来年のU-20W杯を目指すU-19や2年後のリオ五輪を目指すU-21の公式戦と親善試合が重なれば、そちらを優先する方針を示している。U-21代表の手倉森誠監督がA代表のコーチを兼任するが、堅守をベースとしながら対戦相手に応じて駆け引きをする部分は似ており、戦術面の共有を図っていくことは可能だ。

選手選考、戦術、規律、育成――。代表を追う記者が4テーマから読み解く、ザックとアギーレ監督の違い
原博実専務理事【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

「代表監督の経験もありますし、クラブレベルでもいろいろなクラブをやっています。特にスペインで非常にチーム状態が厳しい状況で(引き受け)、その中で守備をしっかり立て直して、勝ち点を取って残留させたというのは、むしろ強いチームを勝たせるというよりも難しい。そういう作業をやってきた」(原博実専務理事)

 理想ではなく現実を見極めながら、最大の結果を掴み取る。前監督は「ザッケローニのサムライはいいプレーを見せたという思い出を残したい」と目標を語った。アギーレ新監督はそうした目標を就任会見では掲げなかったが、代わりに“コミット”という言葉でテーマを表した。それは直訳するなら“役割に責任を持ち全力でやり抜く”ということ。

 ザックジャパンもチームのポテンシャルが低かったわけではないが、それを本大会で発揮し、勝利に結び付けるためにはチームが競争意識を持ち続け、より勝負を厳しく突き詰めていくことが求められる。その意味で、現時点でアギーレ監督に対する期待は大きいが、応援する側や報道する側も4年間を通して厳しい目線を持っていくべきだろう。

【了】

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