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日本代表 10年前

選手選考、戦術、規律、育成――。代表を追う記者が4テーマから読み解く、ザックとアギーレ監督の違い

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

違いその1:選手選考

選手選考、戦術、規律、育成――。代表を追う記者が4テーマから読み解く、ザックとアギーレ監督の違い
青山敏弘は東アジアカップで台頭した1人だ【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 青山は東アジアカップで台頭した1人だが、アジア予選の過程で中盤の構成を固定しすぎなければ、もっと早く招集は可能だった。ザッケローニ前監督は多くの選手をチェックしてポテンシャルを把握していながら、主力を一時的に外して若手やフレッシュな選手を試すことができず、Jリーグですでに結果を出している選手のテストや組み込みも大きく遅れる結果になった。

 アギーレ監督は「過去のことに関してコメントするのは好きではありません」と前置きした上で「とにかく競い合う、切磋琢磨するチームを作りたい」と語ったことは自身の経験に、ブラジルW杯で日本代表が露呈した問題を加味しての発言だろう。

 主力のコンディションが良好でないにもかかわらず、6人もの選手が起用されないまま大会をさることになった事実をアギーレ監督も認識しているはずだ。

 奇しくもアギーレ監督は「全てのプレーヤーに扉は開いている。日本国内でプレーしている選手、海外でプレーしている選手、全ての選手です」と、ザッケローニ前監督と同じ趣旨の発言をした。

 だが、「選手選考のプロセスは時間がかかると思っている。次の試合に誰かを招集したからといって、その選手たちが長期に渡ってということでは決してありません」と強調したことは大きな違いを示している。

 例えば親善試合が続く場合、主力候補であっても所属クラブの事情やコンディション、他の選手をテストしたい理由などで呼ばないケースが考えられる。その場合に課題となるのはチーム強化のカギとなる戦術理解だ。

 新しい選手のテストを重視すればするほど、継続的な戦術の植え付けは難しい作業になる。時期によっては何ヶ月も集まれないことがある代表チームで、しかも招集の度にメンバーが変わるとチームの成熟度は下がってしまう。

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