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未曾有の土砂災害にサッカー界は早くも支援を開始。石橋竜史市議に聞く、広島市の現状と今後求められること

text by 澤山大輔 photo by Daisuke Sawayama

錯綜した情報。混乱する人も

「こうした状態を繰り返していたのですが、おかげさまで、現在は県外からも土のう袋が大量に寄せられては各所へ行き渡り、往来のできる道路が徐々に増えるなど、まだまだ大変な状況は続いていながらも目に見えて改善はされており、復旧へ向けて、早急に善意のアクションを起こして下さった皆様方に、本当に感謝しております。
 
 それと、病院と保育所ですね。安佐南区は子育て世代が市内で最も多い地域ですから、一日も早く保育所や病院の機能を復活させるために、この辺りは優先的に時間を注いで復旧、再始動へのお手伝いをさせていただき、なにより地域住民のサポートもあり、こうした公共機関が徐々に再開しています。ある保育園などは、通常の保育にプラスして、復旧に従事されている方々のお子様を臨時で受け付ける取り組みも出てきました。
 
 あとは、空き巣行為の声も漏れ聞こえていたため、空いた時間はエリアの山本や八木に至るまで、人の往来が少ないエリアに足を運んで『誰かいませんか!』と、パトロールを兼ねた声掛けをしたり、気づいたことへは兎にも角にも夢中で動いていた状態でした」

――連絡役をしつつも、現地でまさしく泥にまみれながら動いておられたのですね。

「少なくとも、現場で把握しえる最新の情報は対策本部などを通じて得ていたのですが、現場の住民は誰しもが私のような環境にありません。各所に自転車を走らせれば、『私は避難しろと言われたの』『私は避難するなと言われた、どうしたらいいですか』と。

 情報が錯綜しては、いたる所で数人単位の井戸端会議が開かれていて、私は今後の天気状況など常に最新の情報を把握すべく努めていたので、『今晩は天候も崩れて来て二次災害の危険もあり、夜になれば暗く避難も難しくなりますから、状況を見ては早めに避難を検討してください』と伝えたり。そういうことを週末まではやっていました。

 ありがたいことに、この土日はかなりのボランティアの方々が現地入りしてくださったため、これまでより場所を絞って、局所で朝から夕方まで泥を取り除く作業、溜まった水を流す作業をやっていました」

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