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「ゲーゲン・プレッシング+ 0トップ」。再び欧州を席巻へ、得点シーンに凝縮されたドルトムントの新戦術

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ポスト役を放棄。インモービレを0トップに

 プレシーズンからクロップは、4-2-3-1、中盤がダイヤモンド型の4-4-2、また4-1-4-1と試行錯誤を繰り返してきた。ワントップにインモービレ、ラモス、オバメヤンを配置したことがあれば、ムヒタリヤンとオバメヤンがツートップを組んだこともあった。

 その時には、8月17日付のビルト日曜版が「オバメヤン+ムヒ=レバンドフスキ」と書いたこともある。そしてCLグループステージの初戦、対アーセナル戦ではインモービレを1トップに持ってきた。

 しかしこの試合でインモービレは、1トップであって1トップではなかった。つまり、0トップである。クロップは、そもそもの「レバンドフスキ=ボールを収めるポスト役」を探し求めることを放棄したようだ。

 度々インモービレは中盤に下りて顔を出した。45分に生まれた先制ゴールのシーンで、インモービレがパスを受けてドリブルを開始した位置を見ると分かりやすい。

 そしてペナルティエリア手前、相手のディフェンスラインと中盤の間にポイントを作る。その役目を主に担ったのが、トップ下に入ったムヒタリヤンである。

 トラップの正確性とドリブルの技術に秀でるムヒタリヤンが、前線から少し下がり目の位置でボールの収め役になって、ドルトムントは攻撃を仕掛けていく。

 またその位置にオバメヤンが入ることもあった。15分には、ボックス手前でのオバメヤンの落としから、インモービレがシュートを放つ。アーセナル戦は出番がなかったが、この役割をこの先香川も担うであろうことは、容易に想像が付くところである。

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