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就任2年目のモウリーニョ――。ブルーズの指揮官が描く青写真

text by 山中忍 photo by Getty Images

プレミア王座奪還に挑むモウリーニョ

就任2年目のモウリーニョ――。ブルーズの指揮官が描く青写真
就任2シーズン目を迎えたジョゼ・モウリーニョ監督【写真:Getty Images】

 だがチェルシーにすれば、ベテランMFの放出は「残念」ではあっても「失敗」とは言い難い。シティでの戦力化は、ゴール前に顔を出す元来の持ち味を生かす起用法があってのこと。一方、古巣が増やしたい中盤の持ち駒は、底に座って最終ラインの盾となりつつ、深い位置で攻撃の起点となれる実力者だ。

 バルセロナからのセルヒオ・ブスケッツ獲得の噂が現実となれば、洞察力とパス能力で控えボランチのジョン・オビ・ミケルとラミレスを大幅に上回るレギュラー級を手に入れることになる。人員整理と軍資金獲得の手段としては、ミケル、または2列目の控えを務めるアンドレ・シュールレかモハメド・サラーの放出が考えられる。

 前線にもクロアチアの新星アンドレイ・クラマリッチを獲得する動きがあるが、これは来季以降を意識した補強策だ。D・コスタに次ぐ今季の第2CFとしては、復帰当初は多分に精神面での補強と思われたドログバが実際の戦力としてもロイク・レミを凌ぐ信頼度を示す嬉しい誤算があった。

 9節マンチェスター・ユナイテッド戦(1-1)で決めたヘディングは、前半戦の強豪との対戦で無敗のチームと同様、不変の勝負強さを表す1発だ。36歳となったかつてのエースは、D・コスタが出場停止だった14節トッテナム戦(3-0)でも1ゴール1アシストで代役を全うした。

 もっとも、ことあるごとに「過去の功績ではなく現在の実力を評価してのことだ」と、ドログバ再獲得を説明してきたモウリーニョにすれば“サプライズ”ではなかったのかもしれない。

 指揮官が描く青写真の通りに前半戦をリードしてきたチェルシーは、モウリーニョ体制で通算3度目のクリスマス首位を経験した。過去2回はいずれもリーグ王者としてシーズンを終えている。100%タイトル獲得の吉兆も見られたチェルシーは、優勝候補最右翼としての信憑性を高めて後半戦に挑む。

【了】

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