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香川真司 9年前

救世主ではない――。それでも香川がドルトムントに必要な理由。攻撃を活性化させる存在に

text by 本田千尋 photo by Getty Images

人員不足の懸念が付きまとうドルトムント

 実際、1月10日からのスペイン南東部ラ・マンガでの合宿に始まり、中断期間中で最後のテストマッチ、24日デュッセルドルフ戦までのクロップの「原点に帰る」BVB再編の過程を振り返ると、少なくともアジアカップで抜けた香川をラストピースとするチーム作りをしてきた訳ではない。

 数名の主力の「新たな脱落」という状況は、香川が電撃的に復帰した昨年9月と似通ってはいる。しかし今回のアジアカップの後の「早い合流」では香川に、いわゆる救世主としての役割は求められていない。

 新加入のカンプルを始め、ロイス、そしてデュッセルドルフ戦で復帰を果たしたムヒタリヤンと、2列目に十分駒は揃っている。要するに、復帰直後の9月13日フライブルク戦のような強行出場が香川に求められる状況ではないのである。

 それでは31日のレバークーゼン戦に始まる後半戦で、もはや香川にチャンスはないのかというと、そういう訳でもなさそうだ。

 試合後にクロップが「我々が目指すところに既に辿り着いているという感覚が私にはない」とコメントを残したように、1-1のドローに終わったデュッセルドルフ戦の時点では、ドルトムントはまだ試行錯誤の域に留まっている。

 17位で終えた前期と同じ轍を踏んで先制された前半戦と、布陣変更でリズムを掴んだ後半戦。大事には至らなかったが、太ももを痛めて途中交代となったギュンドアンのような突発的なアクシデントが後半戦は続かないという保証はどこにもない。

 スタイルがはっきりと定まっておらず、いつ人員不足が起きるかわからないのであれば、やはり依然として香川は貴重な戦力の1人である。

 この「BVBにとっては、カガワの早い合流は良い知らせである」という状況は、また見方を変えれば、香川にとっても良いことなのかもしれない。アジアカップでの4試合の公式戦を終えて、後期開幕前にチームに合流した。

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