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代表 9年前

遂に頂点へ――。アジアの雄へ正式に名乗りをあげたサッカルーズ 

text by 植松久隆 photo by Getty Images

自らの存在意義をアピールしたサッカルーズ

 そして、延長前半の終了間際、クルーズのケガで代わって入ったジェームズ・トロイージが値千金の決勝点を挙げた。ちなみに、そのゴールのお膳立てをしたのも、後半63分にティム・ケーヒルに代わってピッチに立ったトミ・ユリッチ。ボールを相手陣内右深くで相手DF二人に囲まれながらも、ユリッチがうまくキープ。 独りの股を抜いたボールをペナルティエリアに迫りつつセンタリング。そこにトロイージが走り込み、決勝点となるゴールを派手に韓国ゴールに叩きこんだ。

 この試合では、それこそ“ケガの功名”とでも言うべきか、相次ぐ緊急事態で切らざる得なかった2枚を含めた3つの交代策がいずれも功を奏した。延長後半の15分間の韓国のすさまじい猛攻から、トロイージが上げた虎の子を守り抜き、サッカルーズは悲願のアジア王者のタイトルを得た瞬間を告げるホイッスルを聞いた。

 アジアの西の果てで密かに暗躍、「豪州AFCから追放」というような騒動の種を撒いている人々に知ってもらいたいことがある。もし、豪州がAFCを抜けるようなことがあれば、昨晩のような気持ちの入ったレベルの高い試合をアジアで行える貴重な「役者」を失うことになる。アジアのサッカー界をよりコンペティティブにして、レベルの向上に少なからず寄与した豪州に対して「排除の論理」を持ち出すのは非常に浅はかな動きと断じざるを得ない。

 今回の豪州の戴冠と今大会の成功で、アジアの人々だけでなく、AFCの最高幹部、そしてこの日スタンドに姿のあったFIFA会長選挙で再選を目論むゼップ・ブラッター会長にも、豪州のAFCでの存在意義を大いにアピールできたことの意味は大きい。

 この件に関しては、アジアカップの公式サイトに書きこまれたあるファンの書きこみが非常に印象に残った。このようなメッセージこそ、AFC内の一部の勢力に届くことを切に願いたい。

「おめでとう、そして、本当に良くやったオーストラリア! アジアの一員でいてくれて有難う。本当に、貴方たちのようなワールド・クラスの国が我々アジアの中に含まれていることを嬉しく思うよ!!」

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