「秋には決定的な局面がやってくる」

　新主将として初めて臨んだ公式戦を勝利で飾ったシュバインシュタイガーは、グルジア戦に先立って、DFB公式サイトのビデオ・インタビューで次のように答えている。

「まだ勝利に飢えている」

　シュバインシュタイガーは、ブンデスリーガとドイツカップの優勝経験はもちろんのこと、チャンピオンズリーグ、そしてW杯も制覇した。サッカー選手であれば誰もが望んで止まない、あらゆるタイトルを獲得しているにもかかわらず、「まだ勝利に飢えている」のだという。「もう一度味わいたい」、と。

　勝利の美酒の味は、勝者しか知ることが出来ない。そして一度知ってしまえば、また追い求めずにはいられない。それはシュバインシュタイガーだけではないようである。

　W杯優勝という至高の経験は、究極の結果を達成したにもかかわらず、ドイツ代表を取り巻くあらゆる人々を、さらなる勝利へと掻き立てることになったようだ。あの夏の甘美をまた味わいたい――誰もがそう飢えている。

　グルジアにこそ勝利し、勝ち点では同じく10としてスコットランドと並んだものの、ドイツ代表は依然としてグループDで3位に付けている。

　欧州選手権予選は、2-0に終わったティフリスでのグルジア戦で前半戦を折り返すことになり、6月のジブラルタルとの試合から後半戦がスタートする。そして9月、10月で全日程を終える予定である。

　レーブは言う。

「秋には決定的な局面がやってくる」

　来夏のフランスを求めて、ドイツ代表は進み続ける。

【了】