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代表 9年前

日本とは“真逆”。欧州でのアウェイ戦を続ける豪州。新たなアジア王者として確実な成長を遂げる

text by 植松久隆 photo by Getty Images

少数派である国内組。欧州遠征にクラブは反発も

日本とは“真逆”。欧州でのアウェイ戦を続ける豪州。新たなアジア王者として確実な成長を遂げる
クリス・イコノミディス【写真:Getty Images】

 何と言っても、この試合のハイライトは、試合時間が残り10分を切ったところでのイコノミディスの代表デビュー。

 後半36分からの少ないプレー時間で、特に見せ場を作れずに終わったものの、彼が歴代598人目のサッカルー(サッカーの代表選手の意)としてピッチに立った瞬間は、豪州のサッカーの歴史でも前例の無い「シニア世代でプレー経験の無いA代表選手」が誕生した歴史的瞬間でもあった。

 彼のこの日のデビューをして、“超新星”の誕生と喧伝するのは早計だろう。その実力の程は、もう少し長い時間でのプレーを見てから判断するしかないが、ポスタコグルー監督の慧眼に認められた選手だけに将来が有望な選手であることには違いない。「クリス・イコノミディス」、この名前を憶えておいて損は無いだろう。

 サッカルーズは、公式戦以外の国際親善試合を国内で行うことが極めて少ない。その地理的隔絶をして“距離の暴虐”と言い表される豪州だが、サッカーの世界でもそれは例外では無い。

 伝統的にトッププレーヤーの多くが欧州でプレーしてきており、直近の代表でも23名中16名が海外、そのうち15名が欧州でプレーしている。そういった多数派の選手達の長距離移動の負担を嫌って、欧州で合宿/親善試合を行うのは非常に理に適っている。

 従って、少数派であるAリーグ所属選手が欧州で合宿を張る代表チームに合流するため遠路はるばる駆け付ける、という日本とは全く逆の図式が発生する。

 適材適所を国内外問わずにフラットに求めてきたポスタコグルー体制下では、過度の欧州組偏重だった2人の前任者(ピム元監督、オジェック前監督)に比べて多くのAリーグ所属選手が代表に選出されるようになった。

 今回もその例に洩れず、各クラブの主力クラス8名が招集、ケガで辞退したウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)のマシュー・スピラノヴィッチを除く7名が、シーズン佳境のクラブを離れて欧州に飛んだ。

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