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代表 9年前

日本とは“真逆”。欧州でのアウェイ戦を続ける豪州。新たなアジア王者として確実な成長を遂げる

text by 植松久隆 photo by Getty Images

W杯予選へ着々と強化

 実際、各クラブを預かる監督にしてみれば、このタイミングでの代表招集は、所属選手が代表に選ばれるという栄誉の反面、その代償としての不在時に余儀なくされる戦力ダウンと選手の疲弊などもあって、正直なところ痛し痒しだ。

 特に、ACLとの併行の超過密日程に青色吐息の中で、それぞれ2名ずつを招集されたWSW(スピラノヴィッチはケガで辞退、参加はFWトミ・ユリッチのみ)とブリスベン・ロア(MFマット・マッカイ、DFルーク・ディヴィア)にとっては一大事だ。

 そのいずれの監督(トニー・ポポヴィッチ、フランツ・タイセン)も、このタイミングでの代表招集に対しての疑問を呈してだけに、その影響は小さくない。

 このように、Aリーグ所属の代表選手の増加を受けて、代表日程とクラブ日程の兼ね合いでの両者間の様々な駆け引きがメディアを騒がせるようになってきた。これは、代表とクラブという2つの要素が複層的に共存する国際的サッカー・シーンでは当たり前のこと。

 その“当たり前”がAリーグでも起きているという現状をして、豪州サッカー、そしてAリーグの発展の表れであると、ポジティブに解釈しておきたい。

 ライバル日本が新たな船長の下で船出したのを横目に見ながら、新しいアジア王者の座に就いた豪州は、今や選手やファンの全幅の信頼を集める船長の下で確実な成長を見せている。

 2018年ロシアW杯へと続く長い航海のスタートまで、あと僅か2ヶ月。日本にしてみても、ロシアへの長い航路の途中で必ずあいまみえることになるアジア最大のライバル豪州の動向から、目を離すわけにはいかない。

【了】

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