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Jリーグ 9年前

花開いた苦労人、武富。柏ユース黄金世代最後の1人。“努力する才能”が目指すは世界の舞台

今季、柏レイソルで躍動するアタッカーがいる。武富孝介だ。ユース時代には工藤壮人らと勝利を積み重ねて黄金世代と謳われた。しかし、その後はレンタル修行の日々。それでも今季、監督に就任した恩師・吉田達磨監督の下、ついにその才能を開花させた。

text by 舩木渉 photo by Getty Images

J2熊本へのレンタルでその得点感覚を磨く

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その才能を開花させた武富孝介【写真:Getty Images】

 武富孝介、その男のキャリアは常に困難と挑戦とともにある。

 埼玉県出身ながら柏レイソルのジュニアユースに入団し、工藤壮人、酒井宏樹、指宿洋史、比嘉厚平といった同期たちと柏ユースの黄金時代を作った。

 その後トップチーム昇格をつかみ取り、順調にキャリアを積み上げていくかに思われた。しかし、プロの壁は高く、厚かった。

 2年目のシーズンを終え、公式戦の出場はわずか1試合。リーグ戦初ゴールこそ記録したものの、J2を圧倒的な強さで優勝した2010年の柏でただ1人取り残されていた。

 そこで武富は決断する。2011年シーズンからロアッソ熊本へ武者修行の旅に出た。すると、九州の地で持てる才能が開花する。

 熊本2年目の2012年、FWにコンバートされて37試合に出場した武富は、14得でJ2得点ランキング5位に駆け上がり、その名は一気に全国区のものとなった。

 元々持ちっていた優れた足元の技術とスピードに加え、それまで生かしきれていなかった得点感覚が研ぎ澄まされた結果だった。

 2013年、熊本から柏への復帰という選択肢もありながら、湘南ベルマーレでさらなる修行を積むことに決めた武富は、新たなスタイルの習得に苦悩した。

 チョウ・キジェ監督の標榜する縦に速く、全員が攻撃と守備に走りまわるサッカーにすんなり馴染むことができず、結局21試合の出場にとどまった。

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