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香川真司 9年前

開幕目前。再びあるべき場所へ、いまだ未知数も新たな旅を始めたドルトムント。その新スタイルとは

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ゲーゲンプレッシングにボールポゼッションを加える

 ここで振り出しに戻ってみる。6月3日の就任会見でトゥヘルはBVBのことを、バイエルン、ボルフスブルク、ボルシアMG、レバークーゼンに対する挑戦者と位置付けた。昨季の上位4チームに対して挑戦するということは、CLの出場権の奪還を狙うということでもあるだろう。

 トゥヘルは、それが全てとは言ってはいない。しかしトップ4に食い込むことは、今季の重要なテーマの1つである。先のロイスの挑戦者としてのコメントは、つまりそういうことだ。

 ドルトムントは、シーズンの終わりにCLの出場権を再び確保することが出来るのだろうか。

 ケムニッツFCに2-0で勝利した後で、フンメルスは「既に土台は出来上がっている」と言う。指揮官がクロップからトゥヘルに代わったからといって、BVBのスタイルは抜本的に変わったわけではない。

 基本的にはプレッシング、ゲーゲンプレッシングを軸とする。そこにトゥヘルがボールポゼッションを付け加えた。中盤の底で落ち着いたボールさばきを見せるバイグルの獲得は、その象徴と言える。

 フォーメーションは、クロップが主に用いた4-2-3-1だけでなく、4-1-4-1、4-3-3といったところもトゥヘルは用いてきた。引いた4バックの相手に対して、3枚のFWに加えて敵陣に人数を掛ける。

 相手のSBとCBの間により鋭角のパスを入れるなど、昨季に比べてサイドの崩しにバリエーションが増えている。ユベントス戦の前半、ホームに迎えたボルフスベルガーAC戦の後半などは、そうした試みが成功した例と言えるだろう。

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