日々迫る偉大な先輩の背中
かつてザッケローニ監督が「インテンシティー(回転数・強度)」という言葉をよく使ったが、日本代表のインテンシティーは香川が好調でないと上がらない。やはりこの男がスイッチを入れるか否かでチームの攻撃の迫力がガラリと変わる。そのことを再認識させた今回の一戦だった。
それだけ手ごたえのある仕事をしたのだから、それを今後も継続し、研ぎ澄ませていくことが肝要だ。今回の2ゴールで代表通算得点が23になり、高原直泰(相模原)に並んだ。あと1点で前任の10番・中村俊輔(横浜FM)に追いつくことになる。その背中を香川はずっと追いかけてきたのだ。
まだ19歳だった2008年、平成生まれ初の日本代表選手としてに岡田武史監督(現FC今治代表)に招集され、すぐに初キャップを踏んだ彼は、中村俊輔が初招集から2年間も国際Aマッチデビューを果たせなかったことを耳にして「俊さん、そんなに苦労したんですか…」とため息交じりに話したことがある。
その苦労人が10年近く守ってきたエースナンバーを引き継いだ以上、いつかはその存在を超えばければならない。その日が確実に近づいてきたのだ。
それが10月8日のシリア戦(マスカット)なのか、その後なのか分からないが、とにかく香川はドルトムントで輝きを放ち続けることが第一だ。1ヶ月後もこの日のような彼をぜひ見たい。
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