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Jリーグ 9年前

浅野拓磨、謙虚と野心が同居するストライカー。先輩の背中を追い成長続ける広島の若き才能

text by 竹島史雄 photo by Getty Images

同郷の先輩・水本の支え

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水本裕貴は同郷・三重県の後輩を日ごろから見守ってきた【写真:Getty Images】

 指揮官、森保一のイズムともいえるフェアプレーを通じた勝利への執着、そこにある冷静さである。この謙虚さを支えるのは時にプロの厳しさを身をもって伝えながら、温かいまなざしを送るA代表経験を持つチームの先輩でもある。

 この日、一瞬のヘディングで決勝点を叩き込んだディフェンダー水本裕貴は同郷・三重県の後輩を日ごろから見守ってきた。セカンドステージ9節の名古屋戦、自ら得たPKに浅野はキッカーを志願した。蹴る気満々の野心を放つ浅野に、水本は近づくと「笑え」と一言伝えたという。浅野は落ち着いた一振りで、このPKを沈めた。

「先輩たちにはピッチだけでなく、オフザピッチでもコミュニケーションをとれている。近い距離にいて、励ましの言葉が多い。失敗してもチャレンジしていけと掛けてくれる」という若きストライカーを育てる術を称える選手が広島の主軸である。

 水本自身も今シーズン初ゴール(これでこの日のGK以外の先発選手全員が今季のゴールを記録したことになる。水本も「(一人残され)正直焦りはあった」という納得のヘディングゴール)を挙げて「二人で喜べる結果が出てうれしい」と郷土愛もにじませた。

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