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カンボジア戦の“失態”はなぜ起きたのか。停滞を打開できない日本代表、不安を抱えて2016年へ

text by 編集部 photo by Getty Images

カンボジア戦の“失態”はなぜ起きたのか。停滞を打開できない日本代表、不安を抱えて2016年へ
不甲斐ない前半のプレーにヴァイッド・ハリルホジッチ監督は激怒したという【写真:Getty Images】

 日本代表は17日、年内最後の試合となるロシアW杯アジア2次予選でカンボジア相手に大苦戦しながらなんとか2-0で勝利を収めた。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は前日記者会見で相手のカウンターと前線のスピード豊かな選手を警戒しなければならないと語っていたが、ふたを開けて見れば予想通りだったにもかかわらず何度もゴールを脅かされた。

 ボールを支配した日本だったが、ゴール前を固めるカンボジアの粘り強い守備を崩しきれず、奪われてカウンターという場面でヒヤリとさせられた。同じパターンは頭の中にあったはずだが、なぜ対応が遅れてしまったのだろうか。

 ボランチで先発出場した遠藤航は「自分たちのパスミスだったり、そういうところから相手にカウンターを食らって、リズムを持っていかれたところがある」と、前半のプレーを振り返る。自身も相手を押し返すほどの力を発揮できず、後半早々に交代を告げられた。

 前半の不甲斐なさは他の選手も感じていた。ハーフタイムまでベンチから試合を見ていた柏木陽介は「相手がしっかりブロックを作ってきた。もっと低い位置で作ると思っていたところで、ちょっと高い位置から出てきたから少し焦りもあった」と原因に言及する。しかし、アジアの相手がカウンターアタックを仕掛けてくることは十分に予想できていたはずだ。

 不甲斐ない前半のプレーにハリルホジッチ監督は激怒したという。ハーフタイムのロッカールームで檄を飛ばされた岡崎慎司も、その理由には納得している。

「自分たちは迷いながらサッカーしてるっていうか、負けてもいいからもっと大胆にいけみたいな感じだったんで、まだ出し切ってないってことでの怒りだと思う」

 本田圭佑も毎度引いた相手に苦しめられる前半の戦い方を課題に挙げたが、一方で「アジアでの戦いというのは、W杯の戦いとは異なるもので、そういう戦い方を得意としている選手が揃っているわけではないのが今の代表の事実かもしれない。でも強い相手にもやれるポテンシャルがある選手はたくさんいるという事実もあるんで、そういったことも前進なんじゃないか」と、メンバー選考に収穫もあると述べている。

 だが今は課題が顕在化し、目に見えて結果と内容に影響を及ぼしている。2015年は日本代表にとって試練の1年だったことは間違いない。アジアカップ準々決勝敗退に突然の監督交代、新監督による世代交代も推し進められた。ハリルホジッチ監督就任から8ヶ月、日本代表は停滞期を抜け出せないまま勝負の2016年へ向かうことになりそうだ。

【了】

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