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Jリーグ 8年前

歴史に名を刻んだ佐藤寿人。得点数だけでないその魅力、自らが受け継ぎ未来へとつなぐ思い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

後輩の活躍を拍手で称えた中山雅史

歴史に名を刻んだ佐藤寿人。得点数だけでないその魅力、自らが受け継ぎ未来へとつなぐ思い
森保一監督【写真:Getty Images】

 ミハイロ・ペドロヴィッチ前監督(現浦和レッズ監督)に率いられていた2008年シーズンの序盤戦に、いま現在に至る独自の「可変システム」のひな型が編み出された。

 2012年シーズンにコーチから昇格した森保一監督のもとで守備の意識が注入され、史上4チーム目となるJ1連覇を果たしたのが2013年シーズン。攻撃面で標榜してきたカウンターが研究され、対策を講じられたことを受けて、今シーズンは遅攻を織り交ぜてきた。

 マイナーチェンジが施されれば、自分が担う役割も変わる。30歳を超えてプレーの幅を広げなければ生き残れない現実を、佐藤はさらに成長するためのチャンスとしてとらえている。

「もしかすると、僕をもっと早くベンチに下げようと(森保監督が)思った試合があったかもしれない。自分がストライカーとして求めてきたのは得点なので、そこの折り合いをつける難しさはありますけど、それでもいまはサッカーが楽しい。得点だけじゃないところのプレーの質をもっとあげていきたいし、得点だけじゃないというところを見せていければ」

 くしくもメインスタンドの記者席では、テレビ局の取材で訪れていた中山が戦況を見つめていた。佐藤に追いつかれた直後には拍手で後輩を称えていた。中山は試合後、素直に喜びを語っている。

「夏ごろからそんな匂いがプンプンしていたんですけど、やっと追いつかれたかという感想ですね。ゴール以外のシーンでもいいところにポジションを取っていますし、相手の隙というものを常に狙っている動きをしていた。

 得点シーンもそうでしたけど、相手の視野に一度入ってから抜けるのは味方とのあうんの呼吸なのか、やはりクロスもドンピシャでしたね。普段の練習のなかから培われたものが、こういう舞台で発揮される。素晴らしいゴールを間近で見させていただき、本当に勉強になりました」

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