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Jリーグ 9年前

C大阪に生まれた“開き直り”。「生きるか死ぬか」で挑む運命の一戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

負のスパイラルに陥り、逃した自動昇格

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6月時点でJ2得点ランク1位だったフォルラン[左]【写真:Getty Images】

 優勝争いに割って入るダークホースとも目された昨シーズン。開幕から低迷が続いたセレッソは2度に及ぶ監督解任を断行するも、かえって混乱に拍車がかかる負のスパイラルを招いた。

 指揮官がブラジル人のパウロ・アウトゥオリ監督に代わった今シーズン。連勝を初めて達成したのは10試合目だった。波に乗れないチームを、MF扇原貴宏はこう表現したことがある。

「徐々に新しい戦術を理解していますけど、昨シーズンから続いている、チーム全体が自信を失っている部分がまだまだ感じられる。セレッソのいいときに見られる躍動感というものが、攻撃においても守備においてもあまり見られない。そういう点でひとつの出足の遅さや、ちょっと迷ってプレーしている部分につながっているのかなと思う」

 半年間の契約延長オプションを行使して残留していた、FWディエゴ・フォルランとの契約延長を見送ったのは7月。来日2年目で日本に馴染み、リーグ及びチームでトップとなる10ゴールをマークしていた2010年W杯得点王を欠いたチームは、シーズン途中で攻撃陣の再編成を余儀なくされる。

 アウトゥオリ監督と選手間のコミュニケーションもしっくりこないことが多く、現場と強化部サイドとの意見が食い違うことも少なくなかった。4試合ぶりの白星をあげた10月10日のギラヴァンツ北九州戦後のミーティングでは、指揮官が辞任の意向を伝えたという情報も飛び交った。

 自信を取り戻せない状態に、先行き不透明な状況が拍車をかける。選手たちの地力の高さで上位戦線につけてきたセレッソは、その直後から5試合連続で白星から遠ざかってしまう。

 ピッチでの戦いに集中できない状況が生まれていたのだろう。ロアッソ熊本に引き分けた11月1日の時点で、J1へ自動昇格できる2位に入る可能性が消滅。1週間後にはツェーゲン金沢に0対3で惨敗するが、他チームの結果でJ1昇格プレーオフへの出場権を何とか手にした。

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