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パトリックはロシアW杯に間に合うのか? 外国人選手の帰化条件【弁護士が解説します】

サッカーの世界ではピッチ内外で複雑な問題が発生する場合があります。サッカーのルールで解決することもありますが、法的な解釈が必要な場合も当然あります。専門家はどのように解釈するのでしょうか。今日から始まる当連載では、弁護士の方々に優しく解説してもいます。

シリーズ:弁護士が解説します text by 藥師神豪祐 photo by Getty Images

いくつかある条件をすべて満たしても……

パトリックはロシアW杯に間に合うのか? 外国人選手の帰化条件【弁護士が解説します】
パトリック【写真:Getty Images】

 サッカー選手の帰化については、折に触れ話題に上るところですが、本年では早速、ガンバ大阪に所属するパトリック選手の帰化について大きく報道されています。

(1)帰化できるかどうかについては、まず、日本の国籍法が定める帰化の条件を満たし、法務大臣の許可が得る必要があります。その上で、(2)日本代表としてプレーができるかという点については、FIFA規則が定める帰化選手の取扱い規定をクリアする必要があります。以下、これらを順に解説していきます。

<国籍法が定める帰化の条件>

 日本では、帰化の許可は法務大臣の権限とされています。法務大臣が帰化を許可すると、官報にその旨の告示がなされ、その告示の日から帰化の効力が生じます。

 帰化の一般的な条件は、国籍法5条に定めがあります。定められている条件を以下で見ていきますが、注意が必要なのは、これらの条件は、満たせば必ず許可がなされるというものではないという点です。

 条文上「法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない」と規定されており、定められた条件は、許可をするにあたって必須の条件であるにとどまります。これらを満たした上で、実際に許可をするか否かは、法務大臣の広い裁量に委ねられています。

【1】「引き続き五年以上日本に住所を有すること」

 まずは、申請者が帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要とされています。この場合の住所は、適法なものであることが必要なので、適法な在留資格を有して住んでいることが前提となります。

「引き続き」住んでいるかという点がよく問題になりますが、途中に数ヶ月間海外に滞在した場合に、在留が中断しているものと判断されるか否かは、渡航の理由や、日本での生活の状況などから総合判断されることとなります。

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