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横浜FMに加入した“黒船”マルティノスとは何者か? 背番号20の可能性に迫る

シリーズ:○○とは何者か? text by 舩木渉 photo by Getty Images

マルティノス
クエンタン・マルティノス(左)【写真:Getty Images】

 あいつは何者だ? 横浜F・マリノスが新たに獲得した外国人FWの名前を聞いて多くの人が抱いた疑問だろう。

 クエンタン・マルティノス、オランダ領キュラソー島生まれの25歳。世代別のオランダ代表招集経験があるものの、決して国際的に有名な存在ではない。オランダのヘーレンフェーンで育成され、スパルタ・ロッテルダムを経てハンガリーへ移籍。その後オランダ2部に戻り、日本移籍前はルーマニアでプレーしていた。

 プレースタイルは良くも悪くもドリブラーだ。FCボトシャニ時代は右ウィングをメインに起用され、非常に高いスタートポジションからほぼ左足1本のドリブルだけで生き残ってきた。ただ少なからず調子に波があり、好調時は1対1の勝率が80%を超えるが不調時は消える試合もあった。

 そもそも90分間継続して力を発揮するタイプではなく、あくまでボールとともにある時に輝きを放つ。高いポジション取りで相手ディフェンスラインに圧力をかけられるが、試合の流れしだいではフラストレーションを溜める場面もありそうだ。

 FCボトシャニではマルティノスが高い位置を取ることで右サイドバックのラドスラフ・ディミトロフのポジションも上がり、攻撃参加の頻度やクロス数を増加させる助けになっていた。横浜FMで百戦錬磨の小林祐三とコンビネーションを磨けば、チームの新たな武器になるかもしれない。

 ドリブルの突破力以外にも左足のプレースキック精度が高く(中村俊輔には及ばないが)、ゴールへの最短経路を見つけて味方を生かすプレーも選択できる。守備への意識は高めで前線でボールを奪い返す場面もあった。

 昨年横浜FMに在籍したアデミウソンほどスキルフルなタイプではないが、ドリブラーとしては同等かそれ以上の実力といっていいだろう。左サイドで輝く齋藤学、中央でタクトを振るう中村俊輔、右サイドから風穴を空けるマルティノスで構成する2列目はJリーグを震撼させるポテンシャルを秘めている。

(文:舩木渉、データ提供:Wyscout)

【了】

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