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最強ペップ・バイエルンの夢を阻んだもの。脅威の“0バック”発明も…【15/16シーズン査定】

シリーズ:15/16シーズン査定 text by 本田千尋 photo by Getty Images

テコ入れに次ぐテコ入れ。3冠が見えてきたが……

ヨシュア・キンミッヒ
新加入のキミッヒは、前半戦から試合に出場してはいたが、主に中盤での起用だった【写真:Getty Images】

 第21節アウクスブルク戦で、本職はSBとボランチであるアラバとキミッヒをCBに並べたのだ。新加入のキミッヒは、前半戦から試合に出場してはいたが、主に中盤での起用だった。

 しかし、ボアテングらが次々と抜けていく中で、第19節ホッフェンハイム戦でCBに抜擢されると、2-0のシャットアウトに貢献する。ペップも20歳の新星のパフォーマンスを讃えた。

 アウクスブルク戦を3-1で終えて、ある程度の手応えを掴むと、タスキに目処が立たなかったこともあって、バイエルンは0バックで人員不足を乗り切っていく。前半に2点を先行されたCLラウンド16ユベントス戦では、後半からCBをアラバとキミッヒにすると、4-2の逆転劇を演じた。

 DFラインで的確なポジショニングとボール捌きを見せたキミッヒは、後半戦の影の功労者と言えるだろう。もちろん本職はMFなので、最後の1対1に弱く、失点の原因となるなど守備面での脆さを露呈した。

 DFラインにMFを2人並べることは、ポゼッションを高めるためにうってつけのようだが、さすがのペップも少し不安を覚えていたようだ。第28節フランクフルト戦からは、復帰したマルティネスを軸に、アラバかキミッヒを組ませるようになった。

 そしてリーグ戦では順調に勝ち星を重ね、CLは準々決勝でベンフィカを下し、DFBポカールはブレーメンを破って決勝に進出する。3冠が、見えてきた。

 しかし物語は、いつもハッピーエンドとは限らない。CLの準決勝で、死闘の末にアトレティコに敗れると、ペップの堪忍袋の尾が切れた。「怪我人」の問題に悩まされ、何とかやり繰りしてきたが、我慢の限界だったのだろう。

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