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Jリーグ 8年前

磐田・小林祐希、24歳での代表初招集。「19歳で入る予定だった」。5年の遅れと5月の飛躍

text by 青木務 photo by Getty Images

タイムリミットとして考えたキリンカップでの代表招集

 なぜ、5月が大事なのか。まずJ1屈指の強豪との対戦が控えていることが、小林を奮起させる最大の理由となった。同時に、日本代表監督へのアピールの場とも捉えていた。

 9月から始まるロシアW杯アジア最終予選のメンバーに名を連ねるには、6月のキリンカップに招集される必要がある。小林は、そう考えていた。

「キリンカップに入れなかったら、もう最終予選のメンバーには入れないかもしれない。その意味でも5月の試合に全部出られるのはでかい。見てもらえるから」

“見てもらう”相手はもちろん、ハリルホジッチ監督だ。

 元々溢れていた自信に強い決意を加えた小林のプレーには、凄みが感じられた。GWに入ってからのプレーは圧巻と言っても過言ではない。実際に、鹿島アントラーズ戦から3試合連続ゴールを記録するなど結果も出した。しかし、今の彼にとって数字は“おまけ”である。彼は常々こう口にする。

「ゴールやアシストはもちろん大事だけど、それだけがトップ下の仕事じゃないから。ゲームを作ったり、崩しの前のパスにも俺はこだわっている。それはアシストよりもっと大事なことだし、そういうことを重視してやっているから。ボールに触る回数も毎試合多いので、悪いとは思っていない」

 チームの勝利を最優先に考え、常にパスを受けられる位置にいるから自然とボールも集まる。名波浩監督は、攻撃を組み立てながらフィニッシュの局面にも関わることを求めている。指揮官の言葉を借りれば、「うちのチームで彼しかできないようなスタイル」だ。

 攻撃における自由を小林は与えられているが、言い換えればゴールが決まるかどうかは自身のプレーに大きく左右されているということ。だが、そうした重大な責任を糧とし、期待をかけられていることに喜びを感じながらピッチに立っている。

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