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Jリーグ 8年前

前田遼一、磐田戦での胸中。「感謝の気持ちしかない」。鳴り響いたジュビロ時代のチャント

text by 青木務

最大のチャンスを逃した悔しさ

 移籍後初となる古巣との一戦で、青赤のストライカーは3本のシュートを放っている。そのうちの1本はこの日、FC東京にとって最大のチャンスだった。

 その『最大のチャンス』とは48分の場面。徳永悠平が左サイドを突破し、深い位置から折り返す。足を伸ばした森下が触れずに通過すると、ボールは前田の足下へ。トラップでのボールを置き所も悪くなかったが、GKにコースを限定され、シュートはブロックされてしまった。

 この時だけ、磐田のボックス内は“前田の空間”となっていた。それまでは大井と森下、2人のどちらかが前田を見る状況を作れていたが、大井が徳永に寄せることになり、外へ釣り出される形を強いられた。

 そして、ラストパスの際「僕にちょっと当たってしまったので、俊が抜かれてしまった」と大井は振り返る。大井が懸命に伸ばした足にボールが触れ、わずかに軌道が変わったことで最終的に前田のフィニッシュに繋がった。それでも、磐田はゴールを許すことはなかった。大井も「個人としては大きな問題なくできたと思う」と胸を張る。

 結局、前田はネットを揺らすことができないまま、スコアレスドローを告げる笛を聞くことになった。「ああいうところで決めないといけない」と、前田は唇を噛んだ。

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