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Jリーグ 8年前

フォルラン、J2でのプレーに葛藤は? ピッチ外で経験した降格。W杯MVPが吐露した悲しさ【フットボールと言葉】

異なる言語間では、翻訳困難な語は無数にある。それはフットボール界においてもしかり。外国のフットボーラーが語った内容を、我々はしっかりと理解できているのだろうか。選手、監督の発した言葉を紐解き、その本質を探っていきたい。今回取り上げるのはディエゴ・フォルラン。南アフリカW杯MVPとなったウルグアイ人FWは、J2でプレーすることに葛藤はなかったのだろうか。(取材・文:竹澤哲)

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

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想像していなかったJ2降格

J2でのプレーを経験したディエゴ・フォルラン
J2でのプレーを経験したディエゴ・フォルラン【写真:Getty Images】

 2015年3月に大阪で行われたウルグアイ代表引退会見の直後に、フォルランのインタビュー記事をナンバー誌で取りあげてくれることになった。しかし与えられた時間は写真撮影を含めて30分というものだった。限られた時間で、フォルランの本音を聞きたかった。そこでインタビュー前に、彼に手紙を書き、それをフォルランと親しいスペイン人記者からメールしてもらうことにした。

 3月24日早朝、いよいよインタビューの日がやってきた。フォルランは練習着姿で、にこやかな表情で目の前に現れた。私が送った手紙は読んでくれたようだ。

 契約があと半年間残されているとはいえ、常に世界の一線級でプレーして来た華やかな経歴を持つ彼がJ2でプレーすることに抵抗はなかったのだろうか?それをまず尋ねてみた。しかしフォルランは特に表情を変えることもなく「全くなかった」とぽつりと答えた。しかし入団会見において、流ちょうな日本語で挨拶をして、日本中を驚かしたとき、このような境遇を受け入れるとは想像もしていなかったはずだ。

「もちろん思ってはいなかったよ。当然、優勝したいと思っていた。あるいはできるだけ上位に入るのを目指していたけど、結果は2部降格だった。でも人生においては様々なことが起こる。思い描いていたものとは異なるけど、ベストを尽くし、前進していくのだ」

 フォルランは淡々と答えた。

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