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Jリーグ 8年前

鹿島の“8番”・土居聖真。役割とともに引き継がれる背番号。紡がれる常勝の伝統

text by 藤江直人 photo by Shinya Tanaka, Getty Images

絶大な存在感を持つ“元8番”の主将

かつて鹿島で背番号8を背負った小笠原満男
かつて鹿島で背番号8を背負った小笠原満男【写真:Getty Images】

 ホームに湘南ベルマーレを迎えた、5月18日のナビスコカップのグループリーグ第5節。土居のゴールで勝ち越したアントラーズは終了間際に喫した連続ゴールで敗れ、決勝トーナメント進出を断たれた。

 連覇がかかったタイトルのひとつを獲得する可能性が、シーズンの序盤で消滅した。嫌なムードを引きずったまま、中2日で迎えた名古屋グランパスとのファーストステージ第13節を直前に控えたミーティング。キャプテンの小笠原が低く、重い声をロッカールームに響かせた。

「俺たちは勝つためにここにきた」

 果たして、試合は2度もビハインドを背負う逆境をはね返したアントラーズが3-2で勝利。勢いと自信を取り戻したチームは残り4試合もすべてものにして、逆転で頂点に立った。

「全体としては決していい試合ではなかったと思いますけど、そのなかで気を緩めたらこういう試合になるよというのを、気づかされた試合だったのかなと」

 グランパス戦をターニングポイントとしてあげた土居は、同時に2001シーズンから5年半にわたって「8」番を背負ったレジェンド、小笠原の存在感の大きさを感じずにはいられなかったという。

「危ない時間帯や気持ちを込めなきゃいけない時間帯で必ず声がけをしてくれますし、随所で流れを変えるプレーもしてくれる。言葉で表すのはなかなか難しいですけど、(小笠原)満男さんのプレーを見ながら『こういうときにはこうしなきゃいけない』と僕らも日々学んでいます。徐々にですけど、みんなが満男さんやソガさん(GK曽ヶ端準)についていけているから、勝てる鹿島になってきているのかなと」

 グランパス戦こそ途中出場だった土居だが、8日後のヴァンフォーレ甲府戦からはスタメンに定着する。アントラーズ伝統の「4-4-2」を踏襲する石井正忠監督のもと、ツートップを組んできた金崎と常に危機感を共有してきたという。

「1点だけでなく、2点、3点と取らないと勝てないと、ムウ君とは毎試合のように言い合ってきた。そういう姿勢が、後ろの選手たちを助ける意味でもチームとして戦うところにつながってくるし、相手に隙を見せないという勝利への執着心にもつながってくる。それが最後の6連勝につながったのかなと思います」

 言葉通りにヴァンフォーレ戦以降の4試合でアントラーズがあげた10ゴールのうち、金崎と土居のコンビで6ゴールをあげている。

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