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Jリーグ 8年前

G大阪、中盤の配置転換で脱「宇佐美ロス」へ。トップ下・遠藤、ボランチ・倉田が放つ輝き

text by 藤江直人 photo by Getty Images

宇佐美流出に備え、厚くなっていた2列目の選手層

 迎えた今シーズン。エース宇佐美貴史が冬のマーケットで移籍することを覚悟していた長谷川監督は、2列目の補強を強化部に要請。横浜F・マリノスからアデミウソンと藤本淳吾を獲得した一方で、納得のいくオファーを得られなかった宇佐美が残留した。

 阿部や宇佐美と同期の大森晃太郎、ベテランの二川孝広(現東京ヴェルディ)を含めて、2列目の選手層が一気に厚くなった。長谷川監督以下の首脳陣にとってはまさに嬉しい悲鳴となるが、必然的にコンスタントに先発の機会を得られない選手も出てくる。

 倉田もその一人で、ボランチで起用されるまでの11試合で先発は5回にとどまっている。それでも、年齢的にも中堅の域に差しかかった27歳は心身のコンディションを常に整えて、チームに貢献できる機会が訪れるときを待った。

 くしくも、ファーストステージ終了をもって宇佐美がブンデスリーガのアウグスブルクへ完全移籍。攻撃陣の再編成を余儀なくされたアントラーズ戦でフル出場を果たした倉田は、両チームを通じて最長となる11.276kmを走破している。

 たとえば後半19分。ボランチの位置から果敢にドリブル突破を図った倉田は、左サイドをフォローしてきた大森へ絶妙のパスを通し、あわやゴールのシーンを演出している。

 時計の針を巻き戻せば、前半26分に大森が決めた同点ゴールにも倉田が絡んでいる。DF米倉恒貴からのスルーパスを、ペナルティーエリア内に攻め上がっていた背番号11が巧みにスルー。あうんの呼吸で反応した大森が、冷静にゴール左隅を射抜いている。

「ネットを見れば『(宇佐美)貴史がドイツへ行ってどうなる』みたいなことが、あれこれ書かれていた。アイツの存在が大きかったのは事実ですけど、今日は代わりに……代わりといっては何ですけど、(大森)晃太郎が出て、点も取って結果も残している。そういう競争意識がチーム内にあるので、いい刺激になっていると思います」

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