日本代表と4-4-2の「ゾーンプレス」。強豪には善戦も、アジアで苦戦した加茂監督時代【西部の4-4-2戦術アナライズ】

2016年08月10日(Wed)10時19分配信

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ
text by 西部謙司 photo Getty Images
Tags: , , , , , , ,

強豪に善戦するいっぽう、アジアでは苦戦

 代表では、導入初期にかなり極端な指導をしていた。サイドに長方形をイメージさせ、その中に相手がボールをつないだら3、4人が長方形内に入って次々とボールにアタックする。かわされても構わないから、スライディングしてでもとにかくプレッシャーをかけ続けろという指示である。確かに「わかりやすい」。もちろんずっとこれではまずいのだが、ゾーンディフェンスにもプレッシングにも不慣れだった日本選手への導入部としては良かったのかもしれない。

 攻撃ではショートカウンターが重視された。中盤でプレスして奪い、素早く逆サイドの裏を狙う。10秒以内にフィニッシュへ持っていこうというダイレクト・プレー指向もファルカンと同じだ。加茂監督が就任した95年は、すでにプレッシングが世界的に定着しかけていた時期である。

 ACミランだけがやっていた時期は過ぎ、どのチームもプレッシングと高いライン設定をするようになっている。つまり、中盤でボールを奪えば相手もプレスをかけてくる半面、ディフェンスラインは高く逆サイドも空いている。プレスの掛け合い、裏の取り合いというこの時期の傾向を、加茂監督は意識していたのだろう。

 守備におけるプレッシングと攻撃での一発の逆裏狙いは、ハンバーガーとポテトのようなセットもの。加茂の次の次に代表監督となったトルシエは逆裏狙いを「ウェーブ」と表現しているが狙いは同じである。ファルカン→加茂→トルシエの戦術は同種であり、この点では一貫性と継続性が保たれていた。

 プレッシングを導入した日本はユーゴスラビアに1-0、メキシコに3-2、ポーランドに5-0、スウェーデンに2-2など、親善試合とはいえ欧州南米勢に対して強かった。一方、アジアカップではクウェートに0-2、バンコクでタイに1-3と敗れるなど、アジア勢には足下をすくわれている。強いのか弱いのかよくわからなかった。

1 2 3 4

新着記事

↑top