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Jリーグ 8年前

浦和・関根貴大、「24」番を背負い躍動。21歳のMFが追いかけてきた原口元気の背中

text by 藤江直人 photo by Getty Images

原口に刺激を受け、埼スタで躍動

 レッズのレギュラーとして、無我夢中にプレーしてきた1年半あまり。成長したという自負を少なからず感じていたはずだが、原口はブンデスリーガでもまれながら、はるか先を突っ走っていた。

 タイ代表戦を観戦しながら、現時点における原口との“差”を見せつけられてから4日。心技体のすべてで刺激を受けたからこそ、関根は埼玉スタジアムのピッチで誰よりも躍動した。

 総走行距離11.313キロはレッズでナンバーワン。スプリント回数も武藤の22回に次ぐ17回を数えた。テレビ越しに見た原口を励みにしながら、攻守両面でがむしゃらに走り回った。

 先制点から3分後の前半44分。キャプテンのMF阿部勇樹が、自陣から猛然とドリブルで駆けあがる。柏木に続く意外性に富んだプレー。冷静沈着な35歳のベテランは、関根の動きを見逃さなかった。

 関根は3バックの右を務める森脇良太と意思疎通を図りながら、攻め上がるときには一人が中へ、もう一人がタッチライン際へそれぞれポジションを取るようにしていた。果たして、阿部がオーバーラップしてきたときには、関根がゴール前に生じたサガン守備陣の“ギャップ”にフリーで走り込んでいた。

 スルーパスを受けた関根は、一瞬のタメを作って武藤を最終ラインの裏へ走らせる。そして、振り向きざまに利き足とは逆の左足から繰り出したスルーパスで2点目をアシスト。勝ち点1差の3位で埼玉スタジアムに乗り込んできていたサガンの戦意を、わずか3分間で萎えさせた。

「何だか自分っぽくないアシストでしたね。左足で、ちょっと陽介君チックな。いつもだったら、あのままモリ君(森脇)にパスが出るんですけど、相手がちょっと食らいついていたので。そこを阿部さんが判断して、自分のほうにボールが出てきた。

 最終ラインやボランチの選手がああやってボールを前へ運んでくれれば、よりコンパクトにパスをつなぐことができるし、攻撃の選手もやりやすい。本当にいい形が出たと思います」

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