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本田圭佑 8年前

本田はなぜミランファンへの苦言を繰り返すのか?「文化を変える」という壮大な挑戦

ミランは現地時間2日、セリエA第7節でサッスオーロとホームで対戦。1-3のビハインドから、見事な逆転劇で4-3の勝利を収めた。日本代表FW本田圭佑はこの試合も出場がなかったが、勝利を喜ぶ一方でイタリアサッカー界に対して苦言を呈した。ミランのファンは少しでも不甲斐ないプレーをすれば容赦なくブーイングを浴びせ、この試合では主将のリッカルド・モントリーボがその標的となった。本田は度々イタリアのファンの在り方に言及してきたが、なぜ彼はファンへの苦言を繰り返すのだろうか。そして、「文化を変える」という大きな理想を掲げた本田は果たしてそれをどのように実現していくのだろうか。(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ミラン、劇的な逆転勝利。本田も「意味のある結果」と喜び

本田
出場機会はなかったもののチームの逆転勝利を喜んだ本田圭佑【写真:Getty Images】

 後半11分、ミランはサッスオーロDFフランチェスコ・アチェルビに逆転ゴールを許した直後、あっさりと追加点を許した。急成長中のU-21イタリア代表MFロレンツォ・ペレグリーニが華麗なパスワークからエリア内に侵入。そして懐の深いボールコントロールでグスタボ・ロペスを空転させると、そのままシュートをねじ込んだ。

 スタジアムにこだまするブーイング。慌ただしく動くミランのベンチは、後半からアップを命じられていた18歳のマヌエル・ロカテッリを呼び戻した。彼はビブスを脱ぎ、出場を待つ。その時スタンドからは、ベンチにいた本田圭佑が椅子から立ち上がり、何事かロカテッリに話しかけているのが見えた。

 サン・シーロは昨季のCL決勝を迎えるにあたり一部改修されており、ベンチはややスタンドの方に張り出す格好になっている。そのため、若干ではあるが同じスタンドの上方からも少し動きが見えやすくなっているのだ。

 さてそのロカテッリは、CKのこぼれ球をエリア外で拾って芸術的なミドルシュートを決めて3-3の同点へとチームを導いた。さらにその直後にはガブリエル・パレッタが打点の高いヘディングシュートを決めて、ミランは逆転に成功したのである。

 昨季までの展開であれば、ピッチ上に選手たちが悪いムードを引きずり確実に敗れていたところだ。そんな勝ち方をしたチームを、ベンチから見ていた本田は素直に喜んでいた。「もしかしたら今シーズンはすごくいい結果が出るのではないかっていうような、意味のある結果」と、試合後のミックスゾーンに立ち止まって彼は答えていた。

「彼はやっぱりミランを愛してて、本当にミランの一員として勝ちたいという強い気持ちがある」と、以前インテルの長友佑都は本田について語っていた。出場が少なくなっても気持ちは萎えず、チームの一員として勝利を願い盛り立てようとする姿勢に変化はないということだ。

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