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日本代表 7年前

ザックJ、最後に挫折した「日本化」。「自分たちのサッカー」の致命的な弱点【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

腹をくくっていたザッケローニ

ブラジルW杯のコートジボワール戦では守備に忙殺され、持ち味を発揮できなかった香川真司(左)
ブラジルW杯のコートジボワール戦では守備に忙殺され、持ち味を発揮できなかった香川真司(左)【写真:Getty Images】

 ザッケローニ監督は妥協案を講じている。攻撃のキーマンである遠藤保仁ではなく山口をボランチに起用して課題の守備力を安定させ、遠藤は後半から投入して「自分たちのサッカー」にギアを入れる。

 オランダ、ベルギーとの遠征試合では、これで手応えをつかめた。「自分たちのサッカー」だけで押し切るのではなく、リスクを減らして試合を均衡させる時間を作るという折衷策だ。

 ここで新たな問題が発生する。本田圭佑、香川真司の2枚看板が所属クラブで出場機会を減らしていた。南アフリカワールドカップ直前に中村俊輔がコンディションを落とした状況と似ている。

 ザッケローニ監督は本田、香川の回復を待った。同時に、それまで招集していなかった大久保嘉人を選出し、大久保と内田篤人のラインを作って攻撃の軸とする次善策も用意した。本田と香川はぎりぎりでコンディションを戻したかにみえた。

 23人を選出した時点でザッケローニ監督は腹をくくっていたようだ。守備固め用の選手を選んでいないのだ。攻めきってしまう覚悟だったのだろう。

 ところが、緒戦のコートジボワール戦では相手のビルドアップを阻止できず、守備に追われる展開に陥っている。相手のMFが落ちてSBを上げるビルドアップを制限できず、香川は守備に追われて消耗してしまう。コートジボワールのビルドアップは、日本が得意としていた形だったにもかかわらず、それをやられたときの対策ができていなかった。

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