清水・小林伸二監督が成就させた青写真。昇格請負人の面目躍如。怒涛の9連勝でJ1復帰

清水エスパルスが1年でのJ1復帰を決めた。20日のJ2最終節で徳島ヴォルティスを2‐1で振り切り、松本山雅FCと勝ち点84で並び、得失点差で大きく引き離してJ1へ自動昇格できる2位を死守した。今シーズンから指揮を執る小林伸二監督は、これで4つ目のクラブをJ1へ導いたことになる。Jリーグ史上に残る「J1昇格請負人」の手腕と、エスパルスが右肩上がりに転じた軌跡を追った。(取材・文:藤江直人)

2016年11月22日(火)15時29分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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エスパルス再建を託されたJ1昇格請負人

清水エスパルスを率いる小林伸二監督
清水エスパルスを率いる小林伸二監督【写真:Getty Images】

 オレンジ色に染まった敵地・ポカリスエットスタジアムのゴール裏から、何度も名前を連呼された。

「コバヤシ、シミズ! コバヤシ、シミズ!」

 20日のJ2最終節を終えた直後のひとコマ。徳島ヴォルティスを2‐1で振り切り、公約通りに1年でのJ1復帰を決めた清水エスパルスの小林伸二監督へ、瀬戸内海を越えて駆けつけた4000人を超えるファンやサポーターが感謝の思いをエールに込めている。

 昨シーズンまで4年間指揮した古巣との対決を制した56歳の指揮官は、選手たちから美酒の代わりに浴びせられたミネラルウォーターでずぶ濡れになりながら、感無量の表情を浮かべていた。

「こんなに多く応援に来てもらって、サポーターには本当に感謝しています。同点に追いつかれた後は普通だったら難しいと思うんですけど、あの大声援が選手を押してくれた。私の声は(選手たちに)届きませんけど、サポーターの声はしっかりと聞こえているので」

 J1昇格請負人の肩書とともに、昨シーズンのJ1で年間17位に終わり、クラブ史上で初めてJ2降格を喫したエスパルスの再建を託された。2002シーズンの大分トリニータ、2008シーズンのモンテディオ山形、そして2013シーズンのヴォルティス。これまでJ1へ導いてきたクラブの立ち位置と、エスパルスのそれは根本的に異なるものだった。

 過去の3クラブは、いずれも小林監督のもとでJ1へ初めて昇格を果たしていた。翻って日本有数のサッカーどころで産声をあげ、1993シーズンのJリーグ元年を戦った「オリジナル10」のひとつでもある名門・エスパルスの場合は、J1へ「戻す」だった。

 しかも、これまでのJリーグの歴史を振り返ってみれば、1年でJ1復帰を果たさなければ、返り咲く確率が一気に下がってしまう。エースストライカーの鄭大世をして「崩壊している」と言わしめた昨シーズンまでのエスパルスを、いかにまとめあげて、なおかつ本来備わっていた力を発揮させるか。根気と時間を要するタスクのテーマを、指揮官はこう定めている。

「個人をグループに、組織にする」

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