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Jリーグ 7年前

清水・小林伸二監督が成就させた青写真。昇格請負人の面目躍如。怒涛の9連勝でJ1復帰

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「どちらかといえば無失点というところが大事だと思う」(鄭大世)

攻撃陣への信頼があったと語った角田誠(写真は2015年シーズンのもの)
攻撃陣への信頼があったと語った角田誠(写真は2015年シーズンのもの)【写真:Getty Images】

 鄭大世は攻撃のバリエーションと工夫が増えたことが、特に後半戦の量産につながったと力を込める。総得点85は、2位の北海道コンサドーレ札幌の65に大差をつけるトップ。9連勝の過程では大前との5試合連続アベックゴールも決めているが、一方でこんな言葉をつけ加えることも忘れなかった。

「エース2人でよく点を取っていると言われますけど、どちらかといえば無失点というところが大事だと思う。しっかりと守れるところに、もっとフォーカスをあててほしいですよね」

 9連勝の軌跡をあらためて振り返ると、4試合連続の完封勝利を達成しているうえに、許しても1失点にとどめている。最後に2失点以上を記録したのは2‐2で引き分けた、8月14日のレノファ山口戦までさかのぼる。最終ラインを束ねる33歳の角田誠も、攻撃陣に対して声を弾ませる。

「やっぱり点を取ってくれるんでね。1試合で2点は確実に。簡単に失点しいひんかったし、その信頼関係は大きかったですね。9連勝というのはなかなかできないし、逆の立場だったら、俺らが松本だったら相当きついプレッシャーを感じていましたからね」

 攻守両面で奏でられた至高のハーモニー。その源泉をたどっていくと、小林監督によれば「攻守の切り替えの速さにたどり着く」という。

「守備については、夏場すぎから切り替えがものすごく速くなりました。まだまだイージーミスが多いですけど、組織でボールを運べるようなった点を含めて、攻撃も守備も少しずつ形としてできている。ちょっと選手が代わっても、そこに新しい選手の特徴は少し出ますけど、チームとしてやるべきことをやれている。そういう点が変わってきたというか、伸びてきたんじゃないかと」

 たとえばヴォルティス戦は、前半から相手のボランチに対して鄭大世と大前が執拗にプレッシャーをかけ続けた。チームのためにエネルギーを使い果たした結果として、後者は後半23分にベンチへ下がらざるを得なかった。そして、代わりに入った金子が大仕事を演じた。

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