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Jリーグ 7年前

川崎Fの敗因。故障者の連鎖、大久保の移籍報道。大一番で悲嘆にくれた“等々力劇場”

川崎フロンターレと鹿島アントラーズが等々力陸上競技場で激突した、23日のJリーグチャンピオンシップ準決勝は、年間総合勝ち点で大差をつけられる3位に甘んじた後者が1‐0で制した。クラブ史上で最多となる勝ち点72、今シーズンのJ1最多となる68得点を叩き出した前者は、なぜ下剋上を許したのか。数々の劇的なドラマを生み出してきた「等々力劇場」が、悲嘆に暮れた理由を探った。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

幾度もドラマを生んできた「等々力劇場」

CS準決勝試合終了後、悲嘆にくれる大久保嘉人
CS準決勝試合終了後、悲嘆にくれる大久保嘉人【写真:Getty Images】

 試合時間が残り10分を切ってから決まったゴール数は12。ホームの等々力陸上競技場における川崎フロンターレの総得点が36だから、実に3分の1がスリリングな時間帯に生まれたことになる。

 しかも、12のうち後半アディショナルタイムに飛び出したゴールが5を数える。9分間が表示された後半アディショナルタイムで2点差を追いつかれ、最後のワンプレーでFW小林悠が決め返して横浜F・マリノスを振り切った9月25日のセカンドステージ第13節は、未来永劫に語り継がれる死闘となるだろう。

 予測不能のドラマを幾度も生んできたことから、いつしかフロンターレのホーム戦は「等々力劇場」と命名された。しかし、鹿島アントラーズを迎えた23日のJリーグチャンピオンシップ準決勝は、舞台の幕が上がらないまま5分間のアディショナルタイムを含めた後半が終わりを告げた。

 スタンドを沸かせたのは、むしろアントラーズのほうだった。途中出場のFW赤崎秀平がフロンターレのパスをカットし、後半5分に値千金の先制弾を決めているFW金崎夢生へパス。韓国代表GKチョン・ソンリョンと競り合いながらゴールへ押し込んだ後半50分の歓喜は、金崎のハンドで取り消された。

 直後の攻撃。パワープレーから右サイドを崩し、攻め上がったDFエウシーニョが切り返しから絶妙のクロスを送るも、DF谷口彰悟が放ったヘディング弾は無情にもゴールバーを大きく越えていく。そして、37歳のベテラン、GK曽ヶ端準がゴールキックを蹴った直後に主審のホイッスルが鳴り響いた。

 ホームにおける今シーズン2度目の完封負けとともに、悲願の初タイトル獲得への夢がまたも道半ばで砕け散った。キャプテンのMF中村憲剛は十数秒も呆然とその場に立ち尽くし、エースのFW大久保嘉人はセンターサークル付近におもむろにひざまずいた。その頬を大粒の涙が伝っていた。

 クラブ史上で最多を記録した年間総合勝ち点72は、浦和レッズの74に続く2位。アントラーズも3位につけているが、勝ち点差は13も開いている。34試合で68得点、つまり1試合平均で2ゴールを叩き出した数字もJ1ではナンバーワン。失点も昨シーズンの48から39へ大きく改善された。

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